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十の輪をくぐる

十の輪をくぐる

十の輪をくぐる

作家
辻堂ゆめ
出版社
小学館
発売日
2020-11-26
ISBN
9784093865982
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「十の輪をくぐる」のおすすめレビュー

1964年と2020年、ふたつの東京五輪の時代を鮮やかに描く親子の物語!『十の輪をくぐる』

『十の輪をくぐる』(辻堂ゆめ/小学館)

 人と人は、たがいを完全に理解することはできない。親友でも、同僚でも、恋人でも、家族でも、相手の考えていることを正確に読み取ることは難しい。好かれていると思ったら騙されていて、憎まれていると思っていたのに愛されていた──そういった悲喜が生まれるのは、どんなに長く、濃い関係にある者同士でも、心だけは共有することができないからだろう。

『十の輪をくぐる』(辻堂ゆめ/小学館)の主人公、佐藤泰介も、ごく身近な人間の内面がわからなくなってしまった者のひとりだ。

 スポーツクラブの運営会社で働く58歳の泰介は、認知症を発症した母・万津子と、バレーボールをきっかけに出会った妻、高校のバレーボール部でエースとして活躍する娘とともに暮らしている。周囲から実力を認められ、残業も厭わず仕事に打ち込めていたのは過去の話だ。定年前の今、会社では窓際に追いやられ、家では毎日妻に腹を立てられて、人生に行き詰まりを感じている。それどころか、自分が挫折したバレーボールの世界で娘が期待されていることを、素直には喜べなくなってしまった。

 そんなある日…

2020/12/1

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十の輪をくぐる / 感想・レビュー

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starbro

王様のブランチのBOOKコーナーで紹介されたので、読みました。辻堂 ゆめ、2作目です。単純なオリンピック・スポーツ小説かと思いきや、三世代東京五輪家族物語の感涙作・秀作でした。昨年読んでいたら2020年のBEST20だったのに、惜しかったです。体操の内村 航平の発言「『できない』じゃなくて『どうやったらできるか』をみんなで考えて、どうにかできるように」という観点、強い意志でTOKYO2020を今年是非開催いただきたい。 https://www.shogakukan.co.jp/books/09386598

2021/01/02

ウッディ

認知症の母を抱え、不本意な部署に配属された泰介は、家庭でも職場でも愚痴と不満ばかり。そんな時、母の口から「東洋の魔女」というつぶやきが・・。2回の東京五輪の時期を行き来しながら、母が隠してきた真実と、泰介にバレーボールをやらせた理由が明らかになる。努力もせず、自分勝手な不平を周囲にぶつける泰介を受け入れられずに前半は苦痛だったが、母、妻、娘の深い愛情に支えられ、自分の病気と向き合い、立ち直っていく後半は、感動的で涙が止まらなかった。生きるための多くの示唆を与えてくれたこの本に出会えて、本当に良かった。

2021/08/14

しんたろー

認知症の母を抱え、窓際で鬱屈としている泰介の2019~20年の視点、その母・万津子の10~20代の1960年代の視点、東京オリンピックを迎える新旧の時代を交互に描いた物語は泰介の狼藉にイライラ、万津子の不遇にハラハラ「本作は合わないかなぁ」と不安になりながら読み進めた。泰介の娘・萌子と妻・由佳子が救いになる存在で「泰介、こんな素敵な妻子がいるのに、何やってるんだ!」と怒りさえ感じたが、年齢が近い同じ窓際族として切ない共感も抱く。終盤の真相と心情が絡んだ展開に唸り、母の想いの深さが沁みる…辻堂さん、お見事!

2021/05/11

いつでも母さん

夫であり父であり息子である泰介の言動に、いや~な気持ちがドンドン膨らんで…私自身の来た道、留まってる今を重ね つつドキドキしながらページを捲った。認知症を患った泰介の母・万津子のこれまでの章が切なくて涙が溢れた。今ならDVやADHDのこともかなり理解されるようになってきたが、あの時代は身内にさえ疎まれるのだ、苦しかったろう辛かったろう。それでも母の愛は強くて貴い。気付いた泰介に頑張れと言いたい。出来た愛娘と妻が優しくて、オリンピックとバレーボールが繋ぐ3世代の夢を心地よく読了した。

2021/01/14

utinopoti27

これは、バレーボールが繋ぐ親子三世代の人間ドラマを、オリンピックの夢に乗せて綴る物語だ。半世紀以上前、九州の貧農の娘・万津子が辿った過酷な運命と、その息子・泰介が生き辛さに苦しむ現代を、交互に綴る構成となっている。万津子には、認知症を患う今となっても、けして息子には語らない秘密があった。やがて過去の真実に気付かされた泰介は・・。本作に込められた大いなる優しさ、無償の愛に触れた瞬間、この若い女性作家の持つ底知れぬ才能に思わず絶句してしまった。彼女は何者で、何故ここまで描けてしまうのか。まさに驚愕の一冊だ。

2021/04/06

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