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十の輪をくぐる

十の輪をくぐる

十の輪をくぐる

作家
辻堂ゆめ
出版社
小学館
発売日
2020-11-26
ISBN
9784093865982
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「十の輪をくぐる」のおすすめレビュー

今年もっとも読者に支持された10作品は?「読書メーターOF THE YEAR」発表!

『ダ・ヴィンチ』2022年1月号(KADOKAWA)

 12月6日(月)発売の『ダ・ヴィンチ』2022年1月号(KADOKAWA)で、毎年恒例、読者投票によって決定するブックランキング「BOOK OF THE YEAR 2021」が発表された。

 小説部門TOP50の1位は、加藤シゲアキによる青春小説『オルタネート』に決定。高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった世界で、若者たちが繋がるとは何かを問う本作は、2021年本屋大賞にもノミネートされ、第164回直木賞候補作品にもなった話題作だ。

 また、コミック部門TOP50の堂々1位は、社会現象にもなった『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)が選ばれた。各部門ともに今年の話題作が続々ランクインし、あわせて受賞者インタビューも掲載されているので、ぜひ『ダ・ヴィンチ』最新号をチェックしてほしい。

 そして、もうひとつ注目したいのは、本好きが交流するサイト「読書メーター」のユーザーを対象にした「読書メーターOF THE YEAR(※)」の発表だ。2021年、ユーザーにもっとも支持された10作品を…

2021/12/7

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1964年と2020年、ふたつの東京五輪の時代を鮮やかに描く親子の物語!『十の輪をくぐる』

『十の輪をくぐる』(辻堂ゆめ/小学館)

 人と人は、たがいを完全に理解することはできない。親友でも、同僚でも、恋人でも、家族でも、相手の考えていることを正確に読み取ることは難しい。好かれていると思ったら騙されていて、憎まれていると思っていたのに愛されていた──そういった悲喜が生まれるのは、どんなに長く、濃い関係にある者同士でも、心だけは共有することができないからだろう。

『十の輪をくぐる』(辻堂ゆめ/小学館)の主人公、佐藤泰介も、ごく身近な人間の内面がわからなくなってしまった者のひとりだ。

 スポーツクラブの運営会社で働く58歳の泰介は、認知症を発症した母・万津子と、バレーボールをきっかけに出会った妻、高校のバレーボール部でエースとして活躍する娘とともに暮らしている。周囲から実力を認められ、残業も厭わず仕事に打ち込めていたのは過去の話だ。定年前の今、会社では窓際に追いやられ、家では毎日妻に腹を立てられて、人生に行き詰まりを感じている。それどころか、自分が挫折したバレーボールの世界で娘が期待されていることを、素直には喜べなくなってしまった。

 そんなある日…

2020/12/1

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十の輪をくぐる / 感想・レビュー

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starbro

王様のブランチのBOOKコーナーで紹介されたので、読みました。辻堂 ゆめ、2作目です。単純なオリンピック・スポーツ小説かと思いきや、三世代東京五輪家族物語の感涙作・秀作でした。昨年読んでいたら2020年のBEST20だったのに、惜しかったです。体操の内村 航平の発言「『できない』じゃなくて『どうやったらできるか』をみんなで考えて、どうにかできるように」という観点、強い意志でTOKYO2020を今年是非開催いただきたい。 https://www.shogakukan.co.jp/books/09386598

2021/01/02

さてさて

『東洋の魔女』が活躍した1964年の東京オリンピックの時代を生き抜き、それから56年の年月が経った2020年の東京オリンピックへ向けて世の中がうごき出した中に『認知症』となり、『私は…東洋の魔女』と呟いた万津子とその息子・泰介が交互に視点の主を務めるこの作品。そこには、1964年の東京オリンピックで正式種目となったバレーボールが繋ぐ二つの時代の物語がパラレルに描かれていました。「十の輪をくぐる」という絶妙な書名と、作品世界を見事に表す表紙など、隅々までとてもよく練りあげられた素晴らしい作品だと思いました。

2023/03/11

ウッディ

認知症の母を抱え、不本意な部署に配属された泰介は、家庭でも職場でも愚痴と不満ばかり。そんな時、母の口から「東洋の魔女」というつぶやきが・・。2回の東京五輪の時期を行き来しながら、母が隠してきた真実と、泰介にバレーボールをやらせた理由が明らかになる。努力もせず、自分勝手な不平を周囲にぶつける泰介を受け入れられずに前半は苦痛だったが、母、妻、娘の深い愛情に支えられ、自分の病気と向き合い、立ち直っていく後半は、感動的で涙が止まらなかった。生きるための多くの示唆を与えてくれたこの本に出会えて、本当に良かった。

2021/08/14

しんたろー

認知症の母を抱え、窓際で鬱屈としている泰介の2019~20年の視点、その母・万津子の10~20代の1960年代の視点、東京オリンピックを迎える新旧の時代を交互に描いた物語は泰介の狼藉にイライラ、万津子の不遇にハラハラ「本作は合わないかなぁ」と不安になりながら読み進めた。泰介の娘・萌子と妻・由佳子が救いになる存在で「泰介、こんな素敵な妻子がいるのに、何やってるんだ!」と怒りさえ感じたが、年齢が近い同じ窓際族として切ない共感も抱く。終盤の真相と心情が絡んだ展開に唸り、母の想いの深さが沁みる…辻堂さん、お見事!

2021/05/11

ALATA

「私は…東洋の魔女」「泰介には、秘密」ミステリー?最初の印象と違って家族の、子を想う温かいお話でした。家庭内暴力、認知症、ADHDと重いテーマに躊躇するも二つのオリンピックに渡る母親の愛情が溢れていて最後はウルッと。祖母の見舞いの帰り道、娘と歩く泰介。知らない間に成長するわが子の姿、言葉を素直に受け入れる。なんかイイなぁ★5※子育ては皆でするもので、任せっきりだった自分は大いに反省するところ。両親にも妻にも感謝😊

2022/06/01

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