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ボローニャの吐息

ボローニャの吐息

ボローニャの吐息

作家
内田洋子
出版社
小学館
発売日
2017-02-22
ISBN
9784093885461
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ボローニャの吐息 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

表題作のように魅惑的なタイトルを付された珠玉のエッセイが15篇。個々の1篇の後に、そして全てを読み終えた時には思わずため息が漏れる。篇中の1篇「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」はピエトロという演劇人との邂逅を語るが、彼にあってはお芝居の舞台はおろか、日常の挙措動作やおしゃべりまでが、あたかも演劇であるかのよう。そして、ここに描かれた15篇はミラノであったり、ヴェネツィアであったり、時にはマラケシュであったりもするのだが、それらの全てはピエトロが演じて語るお芝居の如き様相を呈しているのである。

2023/01/01

アン

ミラノの荘厳な大聖堂ドゥオーモ、パイの具が花畑のようなナポリの郷土料理カザティエッロ、夕暮れ時の鮮やかなヴェネツィアの空と神秘的な運河…。色彩や匂い、潮騒や雨の音、味覚などを豊かな表現力で綴られた、イタリアの多彩な光景が浮かび上がるエッセイです。人々の日常生活に視点がおかれ、その眼差しは優しくあたたかいものを感じます。初めてイタリアへ行った夏に起きたボローニャ駅の事件と航空機墜落事故を思い出す表題作が心に残ります。30余年イタリアに寄り添い続ける内田さんならではの作品です。

2020/02/02

どんぐり

1年の半分が雨のミラノを綴った「雨に連れられて」と「甘くて、苦い」に登場するドゥオーモの5つの扉と雨水のはけ口となっている怪鳥。フランチェスコ・アイエツ作『接吻』に言及した「キス」、ヴェネツィアのカーニバルでかぶる仮面の「ゆらり、ゆらり」、イタリアで起きたテロ事件の〈鉛の時代〉とクリスティアン・ボルタンスキーの鎮魂の芸術にみる「ボローニャの吐息」、どれをとっても内田さんらしいイタリアをめぐるエッセイ15篇。イタリア行きたい!

2019/06/13

チョコ

イタリア紀行だけど、小説のよう。去年、イタリア旅行へ行ったので場所を思い出しながら。ツアーでものすごい早さで回ってしまったので、今度は事前にこの本を読んでゆっくり滞在してみたい。

2020/10/10

ユメ

これまで読んできた内田さんの著作のほぼすべてに、ミラノが登場する。私が持つミラノという街に対するイメージの大半も、内田さんによって形作られているかもしれない。それなのに、私はなんとぼんやりした読者だったのだろう。本書を読んで、胸の内でミラノのイメージがみるみる鮮明になっていった。ミラノの円心は、ドゥオーモ。大聖堂と広場が、ミラノの人心を掴んでいる。ドゥオーモについて綴られたくだりを追うと、ミラノという街の精神性や、内田さんがミラノに魅了された理由がこれまでより理解できたような気がした。

2019/07/08

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