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さっきまでは薔薇だったぼく

さっきまでは薔薇だったぼく

さっきまでは薔薇だったぼく

作家
最果タヒ
出版社
小学館
発売日
2022-04-13
ISBN
9784093888561
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さっきまでは薔薇だったぼく / 感想・レビュー

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旅するランナー

コロナ禍に書かれたためか、ネガティブ感や閉塞感漂わす詩の満載感。コロナの場合は、ポジティブ(陽性)の方がネガティブだという不思議感。より最果ての旅人になって、手の届かない存在になっていくという焦燥感。絶望を覆すことができない揺らぐ心を正義とせよ、きみが、死んでも残る詩。

2022/10/14

けろりん

乾涸びた心臓を何万本もの透明なナイフが穿いたら滴り落ちる苦い水がたちまち無情に凍って薄墨いろの花びらになった。マスク越しの無機質な接吻でくっつけて薔薇の花を作ろう。青臭くひょろひょろな茎にご用心、繊毛みたいな棘がいつまでも手のひらを刺すから。棄てきれない情熱の溶鉱炉で灼熱した夕焼けが世知辛い現実の風に晒されて錆び、危うく妙なる調べを奏でる。何度でもこの残酷で綺麗な笞に打ちのめされ、優しくもない匂やかでもない美に陶酔する。冷たく静かな凶器。

2022/11/01

なお

読メの皆様のレビューで最果タヒさんを知りました。中原中也賞を受賞する等、注目されている作家さんです。この詩集からは強い自意識と同調に反発する思いも感じました。感受性が豊かである事は時に生きづらさを感じたりもする。心の底にある思いを何かの形で吐露する事は、魂を解放させる事だと思います。しかし、心の底からの思いを形にできる人は多くはない。誰もが時折でも、密かにでも感じている心の底にある思い。それを自分の言葉で表現するのは難しいのです。深い海からでも、水たまりからであっても何かを表現する事の大切さを思いました。

2024/03/25

アマニョッキ

『さっきまでは薔薇だったぼく』タイトルがもうグッとくる。久々のタイトル買い。いや本当は装幀にも惚れたんだけど。最果タヒさんを読むには歳をとりすぎたなと思ってあえて避けてきたのですが、とうとう手に取る日がきましたか。あれですね、内側に宇宙がある方ですねタヒさん。言葉が紙面からわきあがってきている感じ。芽吹きのような。生まれたて感がすごい。あつあつのマグマみたいだけどさわると低温でむしろさらさらみたいな不思議な感じ。これ響くひとには響きすぎて鼓膜やぶれちゃうんやないすか。どきどき。

2022/04/29

最果タヒさんの詩は久しぶり。詩のひとつひとつが切なさや痛みや恋情であふれていて、ひとつ読んでは心が痛み、ひとつ読んでは切なさを感じ、ひとつ読んでは誰かを好きな気持ちを思い出す、そんな詩集だった。美しさで隠した棘をもつ薔薇のように、この詩集も綺麗さのなかに痛みを隠しもっている。だけどその痛みさえも美しいのだ。本当に、どうやったらこんな言葉を紡げるのだろうか。わたしもこのように言葉をつなぎあわせて、綺麗にわたしの想いを表現してみたい。それがたとえ、わたしの痛みを表したものでも、美しく昇華させてみたいのだ。

2022/10/05

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