ボニン浄土 (小学館文庫 う 14-2)
ボニン浄土 (小学館文庫 う 14-2) / 感想・レビュー
のり
1840年に難波し、小笠原諸島に漂着。そこには先住者がいた。それも外国人が多数をしめた。生きる術を教わりながら、本土に帰りたい漂流者達。それも命がけの航海となる…時は現代。人生半ばにさしかかった男が、自分のルーツを辿る事に…もう一つ、天才チェロ奏者の少年の話も入り、小笠原の歴史と関わった人達の再生を描く。脈々と続いてきた血筋。大戦を乗り越えながら、日本に返還された小笠原の美しさと、人の温かみを存分に味わった。
2024/04/26
かつおさん
“南の楽園”というイメージの”小笠原諸島”。その歴史、そこに暮らしてきた人々やその生い立ちについて何も知らなかった。江戸時代から現代に至る小笠原の歴史、風俗、人の繋がりの中で見事に紡がれた物語。どこの国にも属さず人種や身分に捉われることのなかった奇跡の島。戦争や資本主義が無垢の社会を壊していく。生い立ちの話、恒一郎のルーツ探し、賢人の癒し旅、が無理なく繋がっていく展開がいい。「マイ・ボーイ」と言って息子の頬にキスをして逝った幸乃が切な過ぎる。恒一郎も賢人もまた島を訪れたのかなぁ⁈
2023/08/07
Y.yamabuki
見事な構成と心に沁みるストーリーが、両輪となってに進む。物語は、江戸時代、難破船が漂着したボニン アイランドと現代の二場面から始まり、小笠原の歴史を紐解きながら進んでいく。この三つのストーリーが、どう繋がるのか?がテーマであり、細かい仕掛けが散りばめられている。けれど小笠原の美しい自然のとそこに暮らす人々ももう一つの読みどころ。その中で変わっていく登場人物達のストーリーが、心に沁みる。様々な視点から読める深い、読み応えある素晴らしい作品。
2023/08/10
A.KI.
ずっと気になっていて文庫化待ってました。小笠原諸島のざっくりとした歴史、ボニン・アイランドという呼び名、欧米系の人々のことなど知識としては多少知っていましたが、それがこうして小説になるとは。題材としても新鮮だったし、つながりがないような3つの話が最終的に絡みあう構成もお見事で、期待通りの面白さでした。各々の人物が抱く思いも、それを包み込む小笠原の土地と人びとも、グッときたり。初読みの作者でしたが、ほかの作品も読んでみたくなりました。そして小笠原にはかねて行きたいと思っていましたが、その思いも強まりました。
2023/11/18
勝丸
小笠原諸島がボニンアイランドと呼ばれていた江戸時代に難破した船乗りの話しから始まり、現代での2人の主人公の物語が交わる事無く進んで行く。途中島の歴史もちりばめられて、終盤命のバトンが螺旋となってつながっている事に気付かされる。
2024/01/04
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