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血の轍 (17) (ビッグコミックス)

血の轍 (17) (ビッグコミックス)

血の轍 (17) (ビッグコミックス)

作家
押見修造
出版社
小学館
発売日
2023-09-28
ISBN
9784098625253
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「血の轍 (17) (ビッグコミックス)」のおすすめレビュー

美しいあの母親は毒親だったのか? 『惡の華』押見修造氏が描く母親と息子の運命の歯車を描いた『血の轍』がついに完結

『血の轍』(押見修造/小学館)

『血の轍』(押見修造/小学館)が完結した。全17巻。ひとりの男、長部静一の人生を描いた漫画だととらえるなら短い。しかし彼の人生は険しいものだった。中学生という人生のごく早い時期に母親に心を踏みにじられ人生を狂わされ、親もとを離れてもなお精神的に追い詰められ、母親から解放されるまで長い月日を要したからだ。全編を通して強調される、手描きの黒い線や陰影の濃さ、母親の容貌の変化は、静一の心象風景そのものであり、多感な少年時代にもっとも身近な血縁者から受けた心の傷が、いかにその後の人生に影響するかを物語っていた。

 序盤、静一はどこにでもいる男子中学生だった。しかし当時の彼が目にしていた穏やかな情景は、静子という母親の存在によってゆっくりとかき乱されていく。中学生時代は人間が自立に向かっていく時期である一方、まだ義務教育中の子どもなので周囲の環境が人格形成に大きく影響する。前半、静子は静一に依存しているように見えた。これは静一が小学生であれば多少過保護だと受け止められる程度のものだったかもしれない。しかし静子は、息子の成長をくい…

2023/11/11

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血の轍 (17) (ビッグコミックス) / 感想・レビュー

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りんご

今日は漫喫デー。この本完結してたのですね。苦しい話でした。過去に何があっても死ぬまでは生きなければいけないってのの突き詰めた漫画でした。しんどかったけど、読みかけた以上は最後まで読む責任みたいなのを感じちゃう漫画だった。えぐかったねー。

2024/01/07

Carlyuke

母親をみとる。吹石さん。静一。作者のあとがき。じわっと来る。これから残りの途中経過の部分を読む。モデルがいて作者が描かなければならない作品だったと知る。

2023/12/16

さくりや

つぶやきでギブアップ宣言したけど気になって読んじゃった笑。静一から見た静子は私の母に似ていたが、静子の語る自己は私に似ていた。分かる、何が起きても遠く感じる。私と静一・静子親子の決定的に違うところは、「死」に安心しないところかなあ。整然とした、確実に自分の思い通りになるものに強く惹かれている親子だなあと思った。静子の最大のミスは結婚と出産で自分が変われると根拠もなく判断したところだし、静一は山で静子も突き落としちゃえば良かったんじゃないの?自分が殺した実感がないと「頭の中のママ」は消えないのでは?なんてね

2024/04/13

空のかなた

六年の連載、壮絶な母と一人息子の物語が完結した。あとがきには「この物語は私が本当に描かなければいけないことだけを、余計なことは入れずに、描き尽くすところまで進もう。もし途中で終わってしまったら私は二度と立ち上がれないかもしれない」。夢現から剥離にかけてのニ章は、読み手にも苦しさと同時にトンネルを抜けたような開放感を与える。幻の中で母と対峙し、貴方に愛されていない事が怖くて、愛してくれない貴方を憎んで、頭の中でころし、罪の意識に殺されそうになったと言葉にできた静一は、自分は愛されていたんだと空を見あげる。

2023/10/10

かに

完結。介護の果ての果て。内なる世界での母親との会話。息を引き取る。広い。吹石さん。夢。思い出せぬ顔。あとがき。「描いてもうしわけありません。私は自分がいきのびるためにこれを描いてしまいました。」「ごめんなさい。ありがとう。」どこまでが実話で、どこまでが創造か。胸糞悪い漫画だったが、心に何かを残す漫画。表現力がすさまじいことは真実。

2024/02/04

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