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質屋の女房 (新潮文庫)

質屋の女房 (新潮文庫)

質屋の女房 (新潮文庫)

作家
安岡章太郎
出版社
新潮社
発売日
1966-07-22
ISBN
9784101130026
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質屋の女房 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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優希

じんわりと来る良さがあります。自分の内面を見つめて書き上げたという 印象でした。処女作『ガラスの靴』、第29回芥川賞受賞作『陰気な愉しみ』を含めてた短編集なので、初期に書かれたものなのでしょう。自負も卑下もせず、淡々と明晰な自己表現をし、時にユーモアを感じさせる世界観は独自のものをひたすら追求しているように思えました。面白かったです。

2016/09/12

コージー

★★★☆☆処女作『ガラスの靴』、芥川賞受賞作『陰気な愉しみ』『悪い仲間』含む全10編の短編集。戦前、戦後が背景となっている。日常の出来事をユーモラスに表現していることが多いため、戦争に伴う独特の閉塞感を感じさせない。年上の女性を初めて性対象として意識する。そんな、大人になりきれていない青年期の男が持つ繊細な心理描写が、ある意味新鮮に映った。【印象的な言葉】どうせ人間、いったんチャンスをつかみそこねたら、味噌もクソもいっしょくただからなァ。

2018/07/30

はまだ

「ガラスの靴」「質屋の女房」がいい。現代小説とまるでちがうけども、それは、なんというか時代がちがうのですね。性みたいなものをこういうふうに書くのは、今も少し前も、あまりいない。でも、手に取るようにわかります。手に取るように。人物が主観的に感情を吐露するよりまえに、詳細に環境や人の造形を描き、まんなかの感情を推知させるような。ドーナツのマルを書いてまんなかの空洞を浮かび上がらせるような。ふるいが、ふるくない。いい短編集。すごい人っているんなー。すごいなー?(誰に ☆5

2019/03/19

hit4papa

私小風の実に実に陰気な短編集です。戦中、戦後の日本人青年の屈折した日常を垣間見て、厭な気分に浸ってしまいました。それぞれの作品に通底するのは、劣等意識をもった登場人物が、自身とその周辺の世界の中で埋没してく様が描かれていることでしょうか。赤裸々と言えばその通りで、逆境を跳ねのけようとする強い意志はおろか現状を打開しようという試みすら見られません。その自堕落さがリアルであるからこそ厭な気分になるのでしょう。どうせなら不快ぐらいな方が読み物としては楽しいのかもしれません。「陰気な愉しみ」「悪い仲間」【芥川賞】

2017/07/30

メタボン

☆☆☆☆ モラトリアム、青二才、そんな言葉が思い浮かぶような作品が多かった。戦時中の、何者にもなれぬ中途半端な青春。もどかしくも、決してあがくようではなく、怠惰な日々を過ごす登場人物達に、何故か共感してしまう。ところどころに出てくるユニークな比喩表現が面白かった。全体に漂う雰囲気が何となく島田雅彦に通じるものを感じた。安岡が芥川賞の選考委員で、島田を認めなかったというのも、何だか皮肉な感じだ。

2021/10/26

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