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鬼怒川 (新潮文庫)

鬼怒川 (新潮文庫)

鬼怒川 (新潮文庫)

作家
有吉佐和子
出版社
新潮社
発売日
1980-05-25
ISBN
9784101132150
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ジャンル

鬼怒川 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ほかほか

時代は大正~昭和。舞台は筑波山の麓、鬼怒川に沿う茨城県結城市。結城紬の千年以上もの歴史と伝統を守るべく主人公のチヨが機を織り続け生涯を閉じるまでの物語。戦争で男手が激減して行く中、夫と息子は生還するも、そして学生運動に明け暮れた孫までが、昔から結城に伝わる埋蔵金伝説に取り憑かれてしまう。取材力の強さは「複合汚染」、チヨの呆けて行く姿は「恍惚の人」を思い出させるが、強い女性の姿に圧倒された一冊。訛りや地名、結城紬や結城埋蔵金の歴史など身近な話で臨場感もありとても面白かった。最後に救いが欲しかった。

2018/01/13

ソーダポップ

本書では、女にとっては「結城紬」男にとっては「結城家の埋蔵金」がキーワードになっている。結城紬の織り手として名高く、妻として母として強く気丈だった主人公チヨと、チヨを巡る三世代の男達が戦争で(孫は学生闘争)て狂わされ、更に結城家の埋蔵金伝説で再び狂わされ、そして、チヨ自身も認知症で人格が破滅したため、自らの手で人生に幕を閉じるという、何とも皮肉な展開をたどり小説としては面白いが、読後感がなんともやりきれない作品であった。有吉佐和子の著書には「川」もの四部作があって、残りの「日高川」「有田川」も読んでみたい

2023/11/08

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

紬の里、結城の機織りチヨの生涯。結城についていろいろ知った。機織りができる女の方が家では地位が高いこと、夫が炊事や家事をすること、機織りは若い女が担い、次の機織り女の嫁や娘に譲ったあとは糸紡ぎをする事。茨城弁はすごく荒々しい、と誰かが言っていたが「このアマ」とか「べらぼうめ」とかよく出てくる。戦争から復員してきた男達が「ディアハンター」化していて、それに振り回される家族たち。結城の紬はもちろん持っていない。

2015/08/20

James Hayashi

これは年一度の図書館の掘り出し市でもらった物で、そろそろ処分しようと思い手に取ったが蔵書に成ってしまうほどの作品。有吉佐和子としては他の作品の方が有名だが、これも一人の女性の一代記で訴えてくる物が大きい。昔は絹川と呼ばれた鬼怒川のほとりの結城紬の産地。日露戦争から昭和の半ばまで生き抜く一庶民とその家族。生活に苦労するチヨと夫、息子と孫の三人の男達が本来なら時代とともに進化し幸せになっていくはずだが、埋蔵金伝説に取り憑かれ腑に落ちない結末を迎える。読後感は重くスッキリしないが非常に読み応えのある作品。

2015/07/06

蛇の婿

巻末の解説の冒頭で『和宮様御留』の一部ネタバレをいきなりやられますので大注意です。この物語を織姫と牽牛の物語であるとする主張は大いに賛同し素晴らしいと思いますが、…しかし前振りで他の話のネタバレから入るとか何考えてるんだろうこの解説書いた人…イイハナシダッタノニナー…

2015/11/05

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