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イースト・リバーの蟹 (新潮文庫 し 7-26)

イースト・リバーの蟹 (新潮文庫 し 7-26)

イースト・リバーの蟹 (新潮文庫 し 7-26)

作家
城山三郎
出版社
新潮社
発売日
2001-03-01
ISBN
9784101133263
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イースト・リバーの蟹 (新潮文庫 し 7-26) / 感想・レビュー

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HIRO1970

⭐️⭐️⭐️長い間積ん読本としていました。城山さんは何とお初でございました。本作には5作の短編が入っています。表題作は80年代前半ですが、他の作品は60年代末から70年代前半のものでした。読んでみて流石に若干古さは感じましたが(メキシコ五輪時の話等)、年配の男性は皆すべからく従軍経験者で若者は学徒動員か皇国少年と言う筋の話は暫くご無沙汰していました。どの作品も甲乙つけ難い魅力を感じました。割と相性が良いような感じがしましたので、城山さんもう少し深掘りしてみようと思いました。

2016/06/26

shincha

城山三郎さんの短編集。戦後間もない時期に海外で生活する商社マン、銀行員、成功を夢見るダンサーなど、心に野望や、絶望や、葛藤を抱えた日本人たちの5作の短編集。戦後日本の高度成長期に、いわば戦士として海外に赴任している日本人たち。一つ一つの物語は、まったく関わりのないものだが、世界の中で戦う日本人は、孤独と切なさと小さい希望を持ち生活している。今とは事情が大きく異なるが、単身で海外に出ていくサラリーマンたちは、少なからず、同じような気持ちで出かけるのでは…無名の普通の人たちの海外での葛藤を描いた作品だ。

2023/03/10

mura_海竜

久しぶりの城山三郎。読メにはアップ少ないが城山さんは読んでいる。時代を生きた有名人小説は良いけれど・・・。5編からなる短編集。場所はニューヨーク、シンガポール、カルガリー、サンフランシスコ。事情があって海外で単身で暮らす男達。女性が関係してくる。人生を楽しんでいるのではない、漂っている感じ。取り残された、未来の見えない人達。城山さん本人もインタビューでこのような哀愁が良いと。ハッピーエンドはない。そうでないから良い。そんな中でも「イーストリバーの蟹」はスキだなあ。蟹は料理でも物語性があり特別な存在に思う。

2013/04/27

まつうら

5篇がつまった短編集で、海外で働く男がテーマ・・・なのかな? 当時といまとでは時代背景が違うので、いまいちピンと来なかったが、4篇目の「黄色い月光族」は印象に残った。 主人公の浦井は、妻と別れたすえにメキシコに流れ着いたダンサー。妻はもう別の男と暮らしているので、元には戻れないが、それでもよりを戻したいと思って妻に義理立てし、ほかの女には手を出さずに暮らしている。どうしてそこまでするのかと思いつつ、それだけ妻に未練がある浦井に、とても哀愁を感じる作品だ。

2021/08/16

シュラフ

異国で暮らす日本人の男たちを扱った短編集。年代、職業、その置かれた立場などみなそれぞれ異なるが、異国という環境下では日本にいる以上にみな自分自身と真剣に向き合わざるをえない。『イースト・リバーの蟹』では、決断次第で社長の椅子に手に届くチャンスをもった男の物語。だが、男は煮え切らない。この男の場合いつもそうである。もともとそんな男ではなかった。妻との学生結婚も親の反対を押し切ったうえでのものである。会社に入ってからは、格好ばかり気にするように変わってしまった。結局、男は社長になるチャンスを逃した。

2014/04/25

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