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東北の神武たち (新潮文庫 B 6-5)

東北の神武たち (新潮文庫 B 6-5)

東北の神武たち (新潮文庫 B 6-5)

作家
深沢七郎
出版社
新潮社
発売日
1972-11-01
ISBN
9784101136035
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東北の神武たち (新潮文庫 B 6-5) / 感想・レビュー

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神武を「ずんむ」と読む表題作の凄さ。民話的な、卑俗な筆致で、東北のとある農村の悲惨を軽妙のうちに語り切る、かと思いきや、ラストシーンでのわけの分からぬ神々しさ。理屈がまるで分からないのだけれど、これぞ深沢式・和式マジックリアリズムの真骨頂、ではないだろうか。自ら「朱色の塔」と名づけた安楽死の処置(アルベニスの曲名から採った、というのが奮っている)を患者に施す医師を淡々と描いた「枕経」も中々強烈。

2015/02/11

HiRaNo

なんという挑発。性に渇いた百姓たちに天皇の名を冠する真っ黒なユーモアの表題作。して「落語風」「浪曲風」と目まぐるしく文体をかえて織りなす小咄集『ポルカ』こそ饒舌の極致か。

2013/01/31

uchiyama

表題作と「白笑」等、深沢作品の滑稽味と悲しみは、感情の安易な説明をしたりせず、ただ、人物の感情の「手前」にあるもの、我知らず出てしまう表情や動作や身体の反応、といったものだけで、その焦燥や欲望や見栄や悲哀が表現されていて、安っぽい「感情移入」なんかとは別の、他者の内面を想像することの本質に迫っていることによると思います。人の痛みを感じることはできない、という真実から目を背けることなく、想像すること。それは、おそらく、作者が病苦にある母に接したことから始まり、その母の死が、小説家を生んだのだと。

2021/07/02

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