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地の果て 至上の時 (新潮文庫)

地の果て 至上の時 (新潮文庫)

地の果て 至上の時 (新潮文庫)

作家
中上健次
出版社
新潮社
発売日
0000-00-00
ISBN
9784101274034
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地の果て 至上の時 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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やいっち

見えざる差別との不毛な、しかし逃れようのない戦い。その血脈を背負って生まれたというだけで、無方向な情念は行き場を失い、強姦と暴力との応酬という縮小再生産の世界に嵌ってしまう。  本書では、何度かの火事の場面が登場する。誰が火を点けたのか。一切を清算してしまいたいという止みがたい情念の結果なのか。暗い歴史の傷を刻まれた土地は、中央資本のカネが入り込むことで、一切の人間的脈絡など頓着せず、更地にされてしまう。声が消されてしまう。

2019/07/01

スミス市松

どんな言葉を以てしても形容し難い。たとえばこの小説は天皇の言葉の支配を食い破るための「事物と言葉が一致した」語り口であるとか、「父殺し」という枠内であらゆる物語を脱臼・切断・破砕してしまうポスト・モダン状況を捉えているとか、そういうことは実際どうでもよい。そんなことをいちいち考えずとも、この小説が非常に複雑で高密度でありながら紛れもない「路地」の記憶であること、完膚なきまでに物語を自壊させながら絶対に物語が必要な人々に向けて語られていること、つまりこの小説が「生きている」ことは読んでみれば分かるのである。

2012/03/03

たけひと

本当に読みづらく、何度も行きつ戻りつ時間をかけて読み終えた。しかし、この毒のような麻薬のような読み心地がページを捲る手を止まらせない。土と草木と血と汗と体液の匂いが鼻腔をくすぐり、口腔が常に酢い唾液に浸されているような読感、たまらない。この三部作の主人公は秋幸だが、私は浜村龍造サーガとしか思えない。これ程憎悪しながら思慕してしまう人物に小説の中で出会ったことはない。日本近代文学の極北という解説者の評が優れて的を得ていると思う。未開の地を踏破した様な充実した気分になる。

2018/09/01

シッダ@涅槃

決して読みやすい本ではないし、この小説の魅力をどう語ればいいかわからない。ただ一日10ページほどだったが、読んでいる間幸せだったことは記しておきたい。浜村孫一だのジンギスカンだのと何度も語られていても苦にならない。「おうよ」、「~じゃさか」というセリフは、読んでいる期間中、頭のなかをなんどもリフレインした。再度強調するが「岬」「枯木灘」と本書とこの夏から秋にかけて読むことが出来たのは幸福だった。

2014/10/12

志ん魚

★★★★ ほとんどストーリーが展開しないままに、路地の歴史にまつわる人々の呪詛、宿業を視点を変えながら執拗なまでに書き連ねていく。600ページの長編だけに中盤正直ちょっとグッタリしてしまったが、ラスト50ページは時が止まったような静謐な美しさがあり、秋幸サーガ最終章にふさわしい余韻が残ります。

2009/03/24

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