KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

結婚式のメンバー (新潮文庫)

結婚式のメンバー (新潮文庫)

結婚式のメンバー (新潮文庫)

作家
カーソン・マッカラーズ
Carson McCullers
村上春樹
出版社
新潮社
発売日
2016-03-27
ISBN
9784102042021
amazonで購入する

「結婚式のメンバー (新潮文庫)」の関連記事

訳者の村上春樹本人も夢中になった! アメリカ人女性作家の名作が今、新訳でよみがえる

『結婚式のメンバー(新潮文庫)』(カーソン・マッカラーズ:著、村上春樹:訳/新潮社)

 せっかく秋めいてきたというのに、〈緑色をした気の触れた夏〉という言葉を見てすぐさま、湿度が高くてうだるような日本の夏を思い出してしまった。主人公の少女のどこにも行き場がなくて鬱屈とする感情と、ここ数年の出口の見えないような夏の暑さが、何だか妙にシンクロしたのだ。

『結婚式のメンバー(新潮文庫)』(カーソン・マッカラーズ:著、村上春樹:訳/新潮社)は、作家・村上春樹と翻訳家・柴田元幸の2人が偏愛する作品を新訳・復刊するべく立ち上げた「村上柴田翻訳堂」シリーズ第一作。一人の少女のあるがままを、“夏”を背景に描き、国も時代も超えて共感を呼ぶ名作だ。

 フランキー、12歳、女の子……にしては背が伸びすぎて、髪は男の子みたいに短く刈っている。〈垢抜けないから〉と言われて近所のクラブハウスからは仲間はずれ。〈「わたしがわたし以外の人間であればいいのにな」〉と毎日考えているけれど、現実は、狭くて汚い台所で家政婦のベレニス、いとこのジョン・ヘンリーと一緒にべたついたテーブルでトラ…

2016/9/9

全文を読む

関連記事をもっと見る

結婚式のメンバー (新潮文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

本書はカーソン・マッカラーズの半ば自伝的な小説ということなのだが、だとすれば、さぞや彼女は生きにくかっただろうなと思う。時代や状況は全く違うものの、太宰の世間との違和と近いものを感じる。そして、同時に生まれの宿命をも思うのだ。彼女はアメリカ南部、ジョージア州で第二次大戦に向かう頃に思春期を過ごす。南部の倦怠とニューヨークやシカゴへの強烈な憧れもまた、この小説には濃厚に投影されている。憧憬と煩悶と閉塞と、もはやキリがないほどの混沌こそが、この小説の神髄だ。そして、12歳という早熟もまたキー・コードだろう。

2016/04/03

KAZOO

私はマッカラーズという作家はまるっきり初めてなのですが、皆さん結構読んでいて、新訳を待っていた人が多いとのことのようです。私は柴田さんが訳したサローヤンを読んだのでこのシリーズを読んでみようと思いました。多感な少女の心やその少女とのやり取りをする人々、特に人生経験豊かなベレニスとの交流に惹かれました。

2016/06/14

ムッネニーク

73冊目『結婚式のメンバー』(カーソン・マッカラーズ 著、村上春樹 訳、2016年4月、新潮社) 米の女流作家カーソン・マッカラーズが1946年に著した作品。著者の自伝的要素が多分に含まれており、田舎街での生活に倦む12歳の少女の、広い世界へ旅立つ事への渇望が生々しく描き出されている。 狂気的と言っても良いほどに暴走してしまう彼女の様は痛々しいが、そこには我々読者も経験した、過ぎし日の相貌がある。 「あたしたちはいろんなことを次々に試してみるんだけど、結局は閉じ込められたままなのさ」

2023/08/02

抹茶モナカ

12歳の思春期の少女の兄の「結婚式」への特別な思い入れ等、繊細な心情を描いた長編小説。自分は特別な存在だ、と、思った事の思春期を通り過ぎた人なら感じる部分はある作品だろう。ちょっと常軌を逸している部分があって、そこがよくある思春期の物語と違う部分であり、マッカラーズの過ごした思春期の特徴なのだろう。読んでいて、少し、落ち込んでしまったのは、僕自身の思春期を思い出したせいか。マッカラーズ作品の特色なのか。また、全く別の理由か。ちょっと、わからないけど、落ち込んだ。

2016/04/19

はたっぴ

『緑色をした気の触れた夏のできごとで、フランキーはそのとき十二歳だった』こんな書き出しで始まる物語には、少女の思い出が詰まっている。彼女が多くの時間を共にするのが、ベレニス(黒人の料理人)とジョン・ヘンリー(6歳の従弟)。年齢の異なる3人の食事風景と交わされる会話が妙にチグハグだが、家族のような親密な時が流れてほのぼのと温かい。フランキーが「もっと自由になりたい」ともがいてジタバタする姿は尖ったナイフのように危なっかしく、思春期の複雑な感情をもて余した少女の瑞々しい成長記として楽しめた。【G1000】

2016/05/15

感想・レビューをもっと見る