殺人者たちの午後 (新潮文庫)
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殺人者たちの午後 (新潮文庫) / 感想・レビュー
びす男
「社会は俺に当然の報いを与えた。でもそれは社会の人が思っているよりずっときついものなんだ」。殺人を犯し終身刑を命じられた10人の告白。卓越したインタビューによって引き出された話からは、殺人や、殺人者たちのさまざまな内面を垣間見ることができる。普遍化できるかどうは問題ではない。一つ一つがそれぞれ、面白くて貴重な証言であると感じた。
2016/07/09
SAT(M)
日本でこの手の犯罪者ドキュメントをやると、「とんでもないことをしてしまった。遺族に申し訳ない」路線か、その路線に行かなければ、”ヤバい”殺人鬼扱いかの二択になりがちですが、ここに出てくる犯罪者達はどちらでもなく、あたかも他人事のように淡々と自身の殺人や、かつての過ちとは切り離されたかのような平穏な今の生活を語っているケースが多いです。日本だったら「反省が足りない!」と言われそうですが…。単にイギリスとのお国柄の違いなのか、それとも、一旦過ぎ去ってしまうとどんどん遠ざかってしまうのが犯罪のリアルなのか。
2018/01/28
さゆき
10人の殺人者へのインタビューをアレンジしたノンフィクション短編集。インタビュアーのコメントは淡々と事実を述べるだけにとどめ、受刑者の告白から読者が直接何かを読み取れる形になっている。受刑者の多くが出所後の再出発を法に阻まれたと告白しているのが印象的。保護観察などの法制度は理に適っている一方、受刑者ひとりひとりの状況に合わせて対応することはやはり難しいのか。
2017/01/29
vaudou
死刑制度の存在しないイギリスで終身刑を宣告された殺人者たち。もう何十年も昔の出来事だったり、喚起を拒絶した記憶がトニー・パーカーとのダイアローグによって引き出される。向き合い方はそれぞれあるが、(一時の過失で済ますもの、残りの人生を贖罪と悔悟に暮らすもの、新たな出会いや宗教に救われる人)回想による語りはすべからく揺曳を伴う。これからも正気で生きていくための、ある種の歪み。
2016/05/31
2018Hiro
①英国の殺人者へのインタビュー集②人が人を殺すケースの多様さと共通項を発見できる③映画や漫画のサイコと比べると現実のそれにはギャップがある。 時として英雄視されたり、カリスマとして扱われる殺人者の実際を、この本は極めて客観的で供述に忠実な文章によって教えてくれる。意外な部分もイメージ通りの部分もそれぞれが発見だった。読後も、殺人者の背景に不運な家庭と人生の混乱があると言う説に説得力を感じる。 ところで不思議なのは彼らには大抵彼らを検診的に愛してくれる女性がいると言うことだ。
2018/01/21
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