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(霊媒の話より)題未定―安部公房初期短編集

(霊媒の話より)題未定―安部公房初期短編集

(霊媒の話より)題未定―安部公房初期短編集

作家
安部公房
出版社
新潮社
発売日
2013-01-01
ISBN
9784103008118
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(霊媒の話より)題未定―安部公房初期短編集 / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

20歳になる前の安部公房の作品も収録された短編集。たった、5年前にこの貴重な作品集が刊行されただなんて今でも信じられない!未完の作品もあるけど、後の安部公房作品の原点が伺えます。「題未定」の人間の見たいものしか信じない危うさとそれに対する誠実さ、計り知ることができない悪意の声に対する良心の呵責の描き方は卓越しているとしか言えない。そして「虚妄」の繋がりたくても誠実・対等であることはできない人間関係の作り方は、今の悩みと重なることがあって矢鱈、悲しかった。「第一の手紙」は『他者の顔』のプロトタイプなのかしら

2018/04/05

風眠

面白いとか、面白くないとか、そういう事じゃない。安部公房という、ひとりの作家の原点を知る上での貴重な資料なのだ。デビュー以前のもの、未完成のもの、2012年に新たに発見された短編など、作家として名を成す前の思考の萌芽を知ることができた。やはり評価される人間というのは、若い頃からもうすでに「出来上がっている」のだと思った。解説で加藤弘一氏が、安部公房は「前衛文学」としてではなく「古典」として読まれる段階に入っていると述べていた。確かにそうだと私も思う。前衛だったものが前衛ではなくなる。時の流れが少し寂しい。

2017/08/23

kishikan

高校生の時に少し背伸びしながら読んでいた安部公房氏。哲学的というか前衛的そして独特のスリリングな文章が、悶々としていた高校生の僕の心に突き刺さってきた(ような)記憶が残っています。さてこの「題未定」。彼の文壇デビュー前後の短編、それも2012年に発見された「天使」や19歳の時の処女作「(霊媒の話より)題未定」など11篇を収めた意義深い本です。1948年頃の作品が多いようですが、すでにこの頃から優れた才能の片鱗をみれます。多少馴染みにくく、難解な文体ですが、その後の「壁」などに続いていくことが分かりますよ。

2013/05/29

長谷川透

驚いたのは文体で、全く以て安部公房らしくない。処女作を含む駆け出し作家の作品だから小説の中で実験や模索を行っているのだろうと思って読んでいたが、どの小説も安部公房青年なりの到達点に届いていて、所謂習作としての創作を行っていないように思う(勿論、作品としての完成度は、世界的作家安部公房のものと較べれば比較しようのないほど未熟なのだが……)。文体や小世界観の違いこそあれ、テクストの断片には間違いなく我々のよく知る安部公房が潜んでおり、大作家となる軌跡を覗い知れる点で安部公房ファンには堪らない一冊となるだろう。

2013/05/01

マリリン

11の短編の中で『白い蛾』は一番印象に残る作品。心の奥底深くにじわじわ沁み込むような感覚。『(霊媒の話より)題未定』は、19才の時の作品だが、これも良い。今まで読んだ安部公房作品の原点を見たような気がした。完全な形で残っていた作品ではないものもあるが、再読したい一冊。

2018/01/16

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