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旅のつばくろ

旅のつばくろ

旅のつばくろ

作家
沢木耕太郎
出版社
新潮社
発売日
2020-04-22
ISBN
9784103275213
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不朽の名作『深夜特急(新潮文庫)』(新潮社)が旅のバイブルと称される、作家・沢木耕太郎氏。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で好評連載していた「国内旅エッセイ」が『旅のつばくろ』(新潮社)として単行本化。その中から全4回で極上のエッセイを連載します。

『旅のつばくろ』(沢木耕太郎/新潮社)

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近くても遠いところ

 私が東京の小学生だった昭和三十年代、家族旅行はあまり一般的なものではなかったように思う。家族そろっての行楽という習慣がなかったということもあるが、どんな家も経済的にさほどの余裕がなかったのだ。  だから、学校で行楽地に行くことのできる遠足は子供たちにとって大きなイベントだった。何円までという制約の中で、おやつにどの菓子を買って持っていくか。母親の作ってくれる弁当が何なのか。前日から多くの楽しみと期待に満ちていた。  そのようにして、私も東京近郊のさまざまな観光地に行ったものだった。  高尾山、江の島、鎌倉の大仏、鋸山(のこぎりやま)……。  しかし、不思議なことに、そうした観光地は成人してからほとんど行くことのないとこ…

2020/5/6

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『旅のつばくろ』(沢木耕太郎/新潮社)

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贅沢の効用

 そのとき、私にはとても珍しいことだったが、岩手の花巻でタクシーに乗っていた。  タクシーに乗るのがどうして珍しいことなのか?    私は浪費家でもないが、吝嗇家(りんしょくか)、すなわちケチというのでもないと思う。財布というものを持ったことのない私は、あればあるだけの金をポケットに突っ込み、ほとんど無造作に使い切ってしまう。要するに金の使い方に関してはかなり無頓着な方なのだ。  しかし、タクシーに使う金に関してだけは別である。臆病、と言ってもいい。  もっとも、つい最近まで、銀座や新宿の酒場で夜遅くまで飲み、家にタクシーで帰るなどということを日常的に続けていたが、そのときのタクシー代をもったいないと思ったことはない。…

2020/5/5

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旅のつばくろ / 感想・レビュー

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シャコタンブルー

日本にはまだ見ぬ素晴らしい場所がたくさんあるし、偶然の出会いが一生の縁に繫がる掛け替えのない人に巡り会えることもある。旅は良いな。読後素直にそう思えた。「縁、というもの」宴会の席での吉村昭が沢木さんに言った一言、あの場でそれを言えるその度量の大きさに感服した。まだ吉村昭の本は一冊も読んでいないが、興味が湧き読みたくなった。行きたくても行けなかった場所、近くまで行ったのに寄らなかった場所、いつかは行きたいと思っている場所。そいう場所は数限りなくあるが、沢木さんのような旅のスタイルにはやはり憧れる。

2020/05/24

Nao Funasoko

一夜に一篇ずつ、41篇を41夜かけて読了。 都内のあちらこちらや祖母が眠る鎌倉霊園や鶴岡八幡宮周辺などのように自分でも歩き知る街の情景を読むのは作家とレイヤーを重ねるような楽しさがあり、また、青森のようにいつか行ってみたいと願っている土地の話には背中を押される思いがある。そして、作中で幾度となく紹介される16歳の沢木青年の東北旅行についての記述はやはり作家生活の原点なのだろう。

2020/07/06

koji

2年前から毎月北陸新幹線に乗っていますが、座ると同時に「JR東日本車内誌トランヴェール」を開き、沢木さんの「旅のつばくろ」を読むのが習慣になりました。見開き2頁で、①見易く絶妙なショットの半頁大のカラー写真、②旅に関わるエピソードを、優しく謙虚で読みやすい語り口で綴るエッセイ、③はにかんだように微笑む沢木さんの写真入りプロフィールから成り、至福の時間を過ごしています。本書は連載を纏めた待望の単行本。特にお気に入りの「旅の長者、兼六園まで、寄り道の効用、車中の会話」には、思わず「お帰り」と心の声をかけました

2020/06/12

Y2K☮

国内の旅エッセイ集。脳内GoTo。村上春樹やホリエモンと同じく、この人もサラリーマンの経験がない。出社日に会社を辞め、フリーランスで生き残ってきた。どんな仕事でも手を抜かなかったという一文の重さ。周囲に流されて嫌々就職活動をしていたあの頃の私は、もう少し己を買い被って好きなことだけに没頭してもよかったのかもしれない(いま取り返しているけど)。著者も長年放置していた青い伏線を拾い集めているようだ。その道程に旅の遺品整理みたいな寂しさを覚えつつ、でもまだまだ沢木さんの新作を読みたい。本当の美文を書く人だから。

2020/08/08

博多のマコちん

JR東日本の新幹線車内サービス誌「トランヴェール」に連載中のエッセイ集。筆者の16歳の時の東北一周一人旅の記憶を重ねながら、フリーのライターになってから出かけた東日本各地への「旅」のエピソードを軽快に綴っている。久しぶりの沢木耕太郎、やはり簡潔な文章でテンポも速く、筆者の思いがストレートに伝わってきてページが先へ先へと進んだ。吉村昭さんとの出会いと交流、立松和平や堀辰雄文学記念館のこと、また信州の小海線・しなの鉄道・飯山線などの路線も出てきて懐かしさに包まれながら読み終わり、心地良い余韻に浸っている。

2020/04/30

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