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夜の木の下で

夜の木の下で

夜の木の下で

作家
湯本香樹実
出版社
新潮社
発売日
2014-11-27
ISBN
9784103367116
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夜の木の下で / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

「高校生になった娘に」のキャッチフレーズで平積みしてあったのが気になり、手にとりました。私には高校生の娘はいませんが、6作からなる短編集で、確かに何作かは女子高校生が登場する作品なので、そこに関連のある方はいいのかもしれません。人間誰もが持つ密かな思い、話したかったことや話せなかったことなどを平凡な日常の中にさりげなく忍ばせて生きていく描写がとても穏やかでした。『夏の庭』や『ポプラの秋』で見せてくれた静かながら揺れ動く心情と『岸辺の旅』を彷彿させるステキな風景描写にしっかりとココロを癒してもらえました。

2019/06/22

nico🐬波待ち中

青春期のほろ苦さ、自分の気持ちを上手く言い表せないもどかしさやジレンマ…大人の誰もがかつて辿ってきた道が6本の短編のあちらこちらに、静かに淡々と描かれている。ふと胸が苦しくなり切なくなって泣けてくる。人はみな色んなものを亡くし、それを振り返り思いを馳せながら、それでも前を向いて生きていく。湯本さんの描く物語にはよく大きな木が出てくる。どっしりとした大きな木が、昔から変わらない姿で同じ場所にそびえ立つだけで安らぎを与えてくれる。あの頃の焦れったい自分を思い出させてくれる優しい短編集だった。

2017/11/19

(C17H26O4)

忘れてもよかったこと、忘れたくなかったこと。あらゆる出来事の上にも時は流れ、それらは思い出へと変わっていく。しばしば自分にとってとても重要性を帯びた思い出に。「僕は転轍機を動かしたのではないのだろうか」振り返ればそんな風に思える「ささやかな分岐点」があったことに気づくこともある。時の魔法は哀しみやうずきをもたらす思い出をも愛おしむ目線を与えてくれる。時が優しく流れるときにおこした穏やかで暖かな風に包まれるように感じながら読み終えた。

2019/10/13

はる

すぐ傍に感じられたのに、手を伸ばせば触れられたのに。二度とは戻らない懐かしい景色、懐かしい人。時を戻すことが出来たなら…。寂寥感の漂う短編集。登場人物たちの哀しみが自分のことのよう。共感するところが多く、幻想的な場面も違和感なく受け入れられた。私もそう、たとえ激しい痛みを感じても、また思い出を辿るんだ。

2018/01/22

アン

病弱だった弟と潜りこんだ緑の洞窟、いじめにあっていた子のリターン・マッチ、ピアノの先生の姉と吹く口笛…。次第に親しい関係が薄れていく事で後悔や寂しさを引きずり、過去の時間に戻れたらという思いは誰しも抱く事かもしれません。人は、この物語のように、秘密や夢、恋や信頼、家族への感情など、様々な思いで人生を紡いでいくのでしょう。湯本さんの繊細で柔らかい文章が、郷愁を誘います。

2019/04/24

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