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学生を戦地へ送るには: 田辺元「悪魔の京大講義」を読む

学生を戦地へ送るには: 田辺元「悪魔の京大講義」を読む

学生を戦地へ送るには: 田辺元「悪魔の京大講義」を読む

作家
佐藤優
出版社
新潮社
発売日
2017-07-31
ISBN
9784104752133
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学生を戦地へ送るには: 田辺元「悪魔の京大講義」を読む / 感想・レビュー

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trazom

学生たちに国のために死ぬことを求めたとされる田邊元先生の京都帝大での講義「歴史的現実」(1940年)の全文を、佐藤さんと一緒に読合わせるという重い一冊。「歴史的現実」は、過去・現在・未来と個人・種族・人類を、三位一体的構造のアナロジーとして論じるなど、歴史や個人に対する考察が殆どで、最後の章で急に「歴史的人間たれ」として国家や種族を持ち出すという余りにも乱暴な論理展開。決して、ここまでして解読する必要がある文章にも思えず、今一つ納得できないまま読了する。田邊哲学の一面だけを切り出したような危うさを感じる。

2022/10/13

harass

発作的に借りてしまい、途中から流す。哲学者田辺元が1940年に出した岩波の小冊子を解説する講義。佐藤によると田辺のこの講義録はベストセラーになり、学生たちに国のために死ぬためをすすめていて、その論理展開や思想的裏付けの種明かしや詐術を批判的に解説。また当時のプロパガンダ映画を上映し当時の一般生活と意識を探る。批判的読み方でいくつかためになったのは確かなのだが、合宿講義の書き起こしで、実にくだけたところが目立つ。ライブ感を大切にしているのか、と考えるが…… やや気になるのはこの著者を信頼してないせいもある。

2018/07/31

キク

佐藤優でこのタイトルだと、素通りはできなかった。戦中の京都大学で若者を戦地に送り出す哲学的根拠を語っていた田辺の理論を噛み砕いていく。「生きることは死ぬことだ」とか「悠久の大義に殉じた者は永遠に生きる」とかの耳障りはいいけど、こういうこと言う人って、絶対に自分が前線に立たないこと前提で言ってるよな、的なやつ。今回のウクライナ騒動でも、興奮した政治家が何人か訳わかんないこと言い出してた。この状況で興奮する政治家は信じちゃダメだと思う。非核三原則についてこのタイミングであーだこーだ言い出すセンスが本当にイヤだ

2022/03/15

おさむ

京都大学で西田幾多郎とともに「京都学派」の基礎を築いた田辺元(はじめ)が時の学生を戦地へ送るために著した歴史的現実を読んで解説する新潮社の講座をまとめたもの。ナマの佐藤さんの講演を聞いたことがあるが、早口で博覧強記なのでもう聞き取るのがやっとでした。そういう意味ではこの講座に参加された人は皆頭の良い方だと思います笑。悪意に満ちた知的操作、人を引き込むロジックとレトリックには空恐ろしくなります。いかに我々が国家に騙されないようにするか。思想的耐性をつけていくしかない、という佐藤さんの言葉に首肯します。

2017/11/08

はるわか

民族というのは、せいぜい250年程度の歴史しかありません。民族というのは近代的な現象に過ぎない。/歴史の反復現象。/意識していれば、矯正できる。何となくやっていることは直せない。これが怖い。/経済混乱によって弱体化した政治エリートが過激な民族主義を自己の権力基盤を強化するために道具として用いたことに最大の問題があるようだ。

2017/11/05

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