美しい子ども (新潮クレスト・ブックス)
美しい子ども (新潮クレスト・ブックス) / 感想・レビュー
アン
『記憶に残っていること』以降に刊行された短篇のアンソロジー。ラヒリ、リュドミラ・ウリツカヤ、ディミトリ・フェルフルストなどの幅広い作品。家族との微妙な距離感、嘘や秘密、人生の終盤…。既読のシュリンクの「リューゲン島のヨハン・セバスティアン・バッハ」は静かな余韻を残し、やはり心にしみます。未読のネイサン・イングランダー「若い寡婦たちには果物をただで」。ホロコーストを生き延びた少年の運命が描かれ、「似た人生は同じ人生ではない。そこには違いがある」という言葉が印象的。様々な感情が呼び覚まされる濃密な時間。
2020/02/08
KAZOO
クレストブックス創刊15周年を記念して11人の作家の短編集から選ばれたアンソロジーです。私はベルンハルト・シュリンクを読んだだけなので、それ以外の作家の作品は初めてでした。ジュンパ・ラヒリやこの表題作は結構楽しめましたが、前回の堀江敏幸さんが選んだときに比べると若干物足りない感じがしました。
2015/08/05
naoっぴ
クレストブックスの選りすぐりの短編を集めた一冊。気になるラヒリやベルンハルト・シュリンク、アリス・マンローの短編など読めて満足。様々な国の様々な人の悲喜こもごもの経験が、しみじみとした余韻をもって語られる。思春期の反抗、罪の意識、隠した嘘、病気になること、年を経る寂しさ…。誰もが経験するような感情がときにごくさらりと何気なく書かれていて読み返すものもあったけど、再読でさらに深みを感じたり、読むほどに味わいの出る作品ばかりだった。中でも「若い寡婦たちにはー」は心に染みた。
2017/11/03
キムチ27
クレストブック生みの親である編者。巻末に綴る思いも珠玉の短編に入れたい・・心に染み入る。今でこそ名前がその持つ世界とリンクできるドーア・ラヒリ・シュリンク・マンローだけでなくベトナム・ロシア等世界各地より優れた作家が作品を連ねる。狭小日本で暮らしていて世界へ想いを馳せる~手垢がつく言葉しか出ないが、まさにそう。人がそれぞれの置かれたソフトハードのスタンスで生きている!いずれの作品にも共通しているのは人生は流れ人は与えられた運命的なものを持って淡々と(或は粛々と)生きていくこと。甲乙つけがたい感慨を抱けた。
2017/06/04
キジネコ
フェルフルスト家再び、しかもクレスト15周年を記念する本書の表題だなんて(^^ゞ 収められた12の短編が無軌道に選ばれたのか?面白い事のみが選択のキモであったのか?この疑念を最後に登場したアリス・マンローが晴らしてくれました。まるで天より地上を照らす燭光のごとき啓示。全ての物語のキャラクターが体温を持ち、生き生きと動き出し 血の通う暗喩として読者の心象風景の中で申し分のない役割を果たします。本年短編部門 個人的にNo.1です。best of bestは「美しいこども」(^_^)読書の快楽、自由だなあ~
2014/11/06
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