きまぐれな夜食カフェ - マカン・マラン みたび (単行本)
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「きまぐれな夜食カフェ - マカン・マラン みたび (単行本)」のおすすめレビュー
「あなたに料理はつくれない」――お客の素性を見抜いた店主がそう言い放った理由とは? 悩みに効く小説『マカン・マラン』
『きまぐれな夜食カフェ マカン・マランみたび』(古内一絵/中央公論新社)
自分が彼らを傷つけたとしても、罰なんて当たらない。だって、私は不幸だもの。弱い者苛めをしているわけじゃない。私は、幸せそうな人をディスってるだけだもの――
健全とは言い難い言葉だけれど、真正面から糾弾することはできない。“持てる者”のように見える誰かに対する妬みとコンプレックスを、毒舌という都合のいい言葉に変えて笑うことには、多かれ少なかれ覚えがあるから。累計10万部を突破した、古内一絵さんの小説「マカン・マラン」シリーズが強く支持されているのは、こうした人の心の弱さ・醜さを、真正面からとらえているところにもあるだろう。
冒頭のセリフを言った女性・綾が登場するのはシリーズ3作目『きまぐれな夜食カフェ マカン・マランみたび』(中央公論新社)の第1話。就活に失敗し、テレオペのバイトを5年続ける彼女にとって、唯一の憂さ晴らしがSNS上でのディスりだ。とある理由で、マカン・マランの常連でもあるマンガ家を執拗に攻撃していた彼女は、SNS上の情報を頼りに、彼の“運命を変えた”という店に…
2020/5/30
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「読み終わったら『ありがとう』という気持ちでいっぱいになった」 口コミで人気が広がり続ける小説『マカン・マラン』4部作
『マカン・マラン - 二十三時の夜食カフェ』(古内一絵/中央公論新社)
ある町の路地裏で、夜の間だけ開いている夜食カフェ「マカン・マラン」。そこにはさまざまな悩みを抱えた人々が、導かれたかのように集まってくるという──。一風変わった“心の交流”を描いた『マカン・マラン』シリーズが、ネット上で大きな注目を集めているようだ。
同シリーズは、2011年にデビューした作家・古内一絵による小説作品。2015年11月に1巻が発表されると口コミで人気が広がり、4部作へと変更されることに。すでに物語は完結しているものの、現在でも書店を中心としてヒットを続け、発行部数はシリーズ累計10万部を突破している。
作中で描かれるのは、「マカン・マラン」に訪れる客と謎めいた店長・シャールとのやり取り。シャールは180センチ を超える長身でありながら、ド派手なメイクや衣装を好む“ドラァグクイーン”。人が求めているものを見抜く能力に長けており、悩める客がやってくるたびに心のこもった夜食を振る舞っていく。
客として登場するのは、“ぼっち”に怯える女子高生や子どもの発育に悩む専業主…
2020/6/6
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きまぐれな夜食カフェ - マカン・マラン みたび (単行本) / 感想・レビュー
ウッディ
ネットに誹謗中傷を書き散らすことで自我を保つ契約社員、目指すべき料理を見失い、味覚を失った和食料理人、見栄えだけのセレブ生活の果てに夫から離婚を告げられた主婦、今回も自分の居場所を失った人々が訪れる夜食カフェ「マカン・マラン」。心に染み入るドリンクと滋味溢れる食事、そしてドラァグクイーンのシャールさんの厳しくも温かい言葉で救われる人がいる。柳田先生とジャダさんの掛け合いもお約束という感じで楽しい。今回もデトックス効果のある4編の物語、面白かったです。
2018/08/19
蒼
シャールさんが健在で嬉しい。しかも完璧な男装でプロ顔負けのソシアルダンスまで披露してくれて、惚れてしまいそうです。今回も心に苦しみを抱えた人達を料理で癒していくシャールさんですが、「藪入りのジュンサイ冷や麦」の割烹料亭の師匠が心に残った。省吾の腕と味覚の才能を見抜き料理人として成功させようとした思いが裏目に出て、一度は後足で砂をかけるように出て行った省吾を何も言わずに受け入れ、薮入りの佃煮をもたせる。良いシーンでした。自分がどこに立っていたいのかがわかった人は、強くなれるんですね。次作に期待大です。
2018/03/08
けんとまん1007
人は食べないと生きていけない。食べることは、生きること。それは単に、命をつなぐだけでなく、何を食べるかで、生き方自体も変わっていく。そこには、作る人が、食べる人のことを真剣に思う心があるから。シャールさん、相変わらずのいい味わいを出してるなあ~。こんなカフェ、行きたい。
2018/07/11
しんごろ
シリーズ第三弾。シャールさん、すごいな。なんかパワーアップしてる。きっと優しさのオーラがでてるんだろうな。荒んだ心、折れた心、迷った心の者達の話を聞いて、気づきを与えて、悩める者達の向かうべき方向にしっかり導き出してくれてる。お茶と料理のおまけつきでね。今作、第二話に感情移入してしまってウルッときた。第三話のシャールさん、かっこよかったなあ。それにしても柳田とジャダのやりとりが相変わらず面白い。リアルに見てみたい。マカン・マランは、どんな雰囲気の店なんだろう。行ってみたいね。
2021/08/18
うっちー
世代を超えたお友達、うらやましいです
2020/09/20
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