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それからはス-プのことばかり考えて暮らした (中公文庫 よ 39-1)

それからはス-プのことばかり考えて暮らした (中公文庫 よ 39-1)

それからはス-プのことばかり考えて暮らした (中公文庫 よ 39-1)

作家
吉田篤弘
出版社
中央公論新社
発売日
2009-09-25
ISBN
9784122051980
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それからはス-プのことばかり考えて暮らした (中公文庫 よ 39-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

東京の片隅にある、ひっそりと忘れられたかのような空間。今回は月舟町の隣に位置する桜川が物語の舞台だ。主人公はお隣に教会があるアパートに住むオーリィさん。大家の大屋さん、トロワというサンドイッチ店を営む安藤さん、その息子の律君との接点の保ち方もいい。ただ今回は元女優のあおいさんとの邂逅、そしてオーリィさんが新しいスープつくりに邁進するなど、この一連の静かな物語にしてはやや動き過ぎか。もっとも、そうはいってもスープが完成したという以外には何も起こらないのだけれど。そして、それこそが「月舟町三部作」たる所以。

2021/01/29

風眠

吉田篤弘は妄想家だと、私は思う。作家なのだから創作家、と呼ぶのがふさわしいのだろうけど、でもやっぱり妄想家だな、って思う。教会の隣にあるアパートに住むオーリィくん。屋根裏のマダム。真面目すぎだけど、どこか可愛いサンドイッチ屋の父と息子。月舟シネマ常連のチャーミングでダンディな老婦人。ふんわりとした空気感、どこか品のある佇まい、ブレない強さ。登場する人物は素敵で優しくて、夢の中の住人のよう。だからだろうか、創作というより妄想だと感じるのは。ドラマチックな展開はない。静かに通り過ぎる日常がただ、愛おしい物語。

2018/05/21

へくとぱすかる

2両編成の路面電車がのんびり走る街。と、くれば東京の世田谷か、さもなくば滋賀の大津だろうか。あてもなく引っ越してきて、なんとか仕事にありついたのは、小さく見えても幸福にちがいない。何事もないけれど、水彩画のように流れていく日々。サンドイッチ店とシネマ、教会の十字架という背景。それでいて銭湯の煙突がある街の物語は、ノスタルジーにあふれる時間が美しい。

2019/10/30

ハイランド

著者の本三冊目、読了。月舟町三部作の「つむじ風食堂の夜」に続く2作目である。題名はもっと象徴的なものかと思ったら、本当に後半はスープの話だった。適度な距離感の人間関係も心地良いし、レトロな感じのする街の描写も素敵、そして何より食欲をそそる本だ。この本を読んで「豆腐と喇叭」の映画を観てみたいと思い、名無しのスープを添えて「トロワ」のサンドイッチを食べたいと渇望するも、所詮叶わぬことである。緩やかで、ちょっとお洒落な空気が楽しい、読み終えるのが勿体ないという読書体験でした。著者の本、もう少し読んでみよう。

2014/09/03

mae.dat

月舟町・三部作の真ん中だったのですね。知らずに読んでしまいました。前作の『つむじ風食堂の夜』は未読なのですが、前提知識なくても、自然に物語の世界に入れた様に思えたのですけど。ほんわりとした世界観、悪く無かったです。でも唐突に終わってしまった。行く末が気になる事が残されたままなのですけど。次作『レインコートを着た犬』を読めばスッキリ解決できるのでしょうか。前作から読み返した方が筋が通るのでしょうか?知ってる方はお教え願いたく。少なくとも、次回作は読まねばならないと思えているのですけど。うー、もやもやする。

2022/12/26

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