三度目の恋 (中公文庫 か 57-7)
三度目の恋 (中公文庫 か 57-7) / 感想・レビュー
misa*
初作家さん。長い、長い旅だったなぁ。教えてもらった「魔法」でむかしむかしの世に旅に出る。今と行き来しながら様々な想いを知っていく。恋愛小説なんだろうけど、なんて言うんだろ。一枚綺麗な布を纏ったままその世界を見渡してるような、なんかそんな視点が新鮮だった。ナーちゃんにしても、業平にしても、よくわかんない男だけど。江戸の話も平安の話も良かった。
2023/11/15
kieth文
私も夢の続きが見れたなら、、、と目覚めてつくづく思う事がある。この物語はまるでパラレルワールドみたいだ。また物語の中に物語があるかの如く、夢の中にもう一つの物語がある。 川上弘美さんは“女“を描く。だから目が離せない。もしもあの時、別の選択をしていたら⁈と誰しも思う事あるし、、、 登場人物に“私“莉子がまるで憑依する如く夢の中でナーちゃんや業平に寄り添う。輪廻転生にも感ずる。時間が交錯するからなのか、“めぐりあう時間たち"を思い出した。 少し時をおいてもう一度読み返したい。
2023/10/17
ゆう
現代日本を生きる梨子という女性を視点人物に、彼女が大人になって江戸時代の遊郭の花魁、平安時代貴族に仕える女房としての夢を見ると言う構成で、3つの時代の人々の生や恋のあり方が描かれる。これらを通して浮かび上がってくるのは、現代という時代の特性と、在原業平・高岳親王という2人の歴史的人物の解釈、そして自由意志の誕生だ。自由意志の誕生とは言葉が大仰すぎるかもしれないが、梨子という人物はこの作品を通して意識の変革を起こしているように感じる。そしてそれはそのまま川上弘美作品の変革に通じているように思う。
2024/01/14
takakomama
伊勢物語をモチーフにした物語。初恋の人ナーちゃんと結婚した梨子は、愛する夫に他の女性の影を感じて、とてもつらいです。夢の中で時空を越えて、江戸時代の花魁や平安時代の女房を体験します。いつの時代も男と女、身を焦がすような恋は苦しいですね。
2023/12/03
蒼田 友
タイトルに恋とはあるが、たびたび精神論のような表現で、通常は受け入れられないような内容もすんなりも読めてしまう不思議な力がある。なによりも美しい文章が心地よい。 澁澤龍彦の名前が文中に出てくるとは。似ているわけではないのだけど、澁澤らしさも感じられる作品でファンとしては嬉しい。 魔法は非常に心地の良いもの。緻密に語られるのだけど、高丘さんは本当に実在したのかな?と思った。なんとも不思議な話。
2024/03/17
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