バースデイ・ストーリーズ (村上春樹翻訳ライブラリー m- 1)
バースデイ・ストーリーズ (村上春樹翻訳ライブラリー m- 1) / 感想・レビュー
ケイ
読書好きな人への誕生日プレゼントにしたい。トレヴァー「ティモシーの誕生日」…なぜティモシーは現れないのだろう、喪失感と愛に溢れたストーリー、そしてその愛につらくなった息子。ラッセル・バンクス「ムーア人」…老女の雪降る誕生日に出会わせた中年男、最後に彼の流す涙の甘さと苦さ。この二作を読んでバースデーのアンソロジーを編集したいと村上春樹が思いつく。さすがに飛びぬけていい。最後の村上春樹「バースディー・ガール」20歳の誕生日をどう過ごしたか彼の言葉で思い出す。何をしたか覚えていない誕生日の多さに愕然とした。
2016/08/30
ヴェネツィア
村上春樹の編訳で、現代アメリカの作家の作品からバースデイにまつわるものを計12編収録したもの(最後に1篇、村上春樹自身の作品)。バースデイが共通項に選ばれているだけに、それぞれの作家の作風の違いが際立つようだ。また、バースデイとはいっても必ずしもhappyであるともいえず、どちらかといえばbittersweetといったものが多い。私の好みでは一層bitterなダニエル・ライオンズあたり。短い作品の中に文化、世代、来歴など様々な要素が盛り込まれている。巻末の村上の作はとても面白いのだが、やや作りこみ過ぎか。
2013/01/03
恭子
村上春樹が選んだ、誕生日をめぐる13の物語。リンダ・セクソン「皮膚のない皇帝」がものすごーく好き。私だってもちろん、できることなら尻尾がほしいと思う。
2014/02/18
かえる
村上春樹書き下ろしの「バースディ・ガール」を含む、翻訳された誕生日にまつわる13の物語。誕生日だからといって必ずしもハッピーだとは限らない。本人にとってはもちろん特別な日なんだけれど、ちょっとハプニングの多い薄暗い作品にテンションが下がる。ほろりとしたのは、80歳の誕生日を迎えた老女の家にカラスが舞い込んできた「慈愛の天使、怒りの天使」、「ムーア人」。切ないけど「風呂」も良かった。なんといっても一番お気に入りなのは村上春樹の「バースディ・ガール」。マジックみたいな話でこの作品だけで4回も読んだ。素敵です。
2015/05/13
miyu
ほんと申し訳ないんだが昔からずっとハルキストじゃないせいか彼のあとがきの前置きが長い上に自分語りが鼻についた(ほんとバカ正直でゴメンナサイ)しかし気が散って苦手なはずのアンソロジーが最後までそこそこ面白く読めたのは、村上春樹という人の目利き力のおかげかも。トレヴァーとクレア・キーガンの作品が目当てだったが何度読んでも彼らの苦い感じが心地よい。他には冒頭を飾るラッセル・バンクスの「ムーア人」、ダニエル・ライオンズ「バースデイ・ケーキ」、ルイス・ロビンソン「ライド」あたり。あ、やっぱり自分は苦モノ好きかな。
2015/03/14
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