第八の日 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-6)
第八の日 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-6) / 感想・レビュー
Kiyoshi Utsugi
事件の舞台は、1944年(第二次世界大戦が終わる前年)のネバダ砂漠のとクイーナンという村落。 ハリウッドからニューヨークに戻る途中、エラリー・クイーンが迷い込むのがこの街で、1944年4月2日の日曜日。 第八の日なので、4月9日の次の日曜日までになります。 殺人事件が起きるのは4月5日で、全部で250ページの作品で、130ページも過ぎてしまったところ。 残りの120ページですべて解決するのか?と思いながら読みました。 いつものエラリー・クイーンシリーズとはちょっと違ってましたが、面白い作品ではありました。
2022/02/04
背番号10@せばてん。
1991年10月8日読了。クイーン(フレデリック・ダネイ)はプロットのみで、執筆はアヴラム・デイヴィッドスン…と云われている作品、その1。(2023年2月16日入力)
1991/10/08
Tetchy
ピーター・ディキンスンを髣髴とさせる異様な手触りを放つ作品。閉じられた共同体であるクイーナンはアメリカにありながらアメリカではない。全ての物は村人の物であるという共産主義的社会。美術、音楽、文学、科学さえも存在しない。教典とされるのはMk'h(ムクー)の書と呼ばれる存在すらも危ういまだ見ぬ聖書。犯罪そのものを知らない人々に対して指紋がどんなものかから教えるエラリイ。最後の結末を読むと本書はエラリイのための事件ではなかったと気づかされる。つまりは探偵の存在を否定する探偵小説。本書の本質はこれに尽きるだろう。
2012/08/31
はの
殺人という観念が存在しないコミュニティーでの殺人事件の話。探偵の存在理由が問われる作品で、真相を明らかにする探偵とは、何なのかを考えさせられる種類のミステリー。テーマの一つも今の世界の問題に通じるものがあり、興味深く読めた。クイーンの異色作ということで、本格をあまり好まない自分には合っていた。
2015/01/23
ドウ
世間から隔絶された、独特の戒律の中に生きる宗教共同体に迷い込んだエラリイのお話。本格ミステリという1つの世界において、作者は創造神であり、創造神と同じ名を冠する登場人物(探偵クイーン)は、国名シリーズにおいては当に神の言葉を預かって読者を啓蒙する預言者であった。そのスタンスがニッポン樫鳥以降最後の一撃までで徐々に崩れ、遂に本書では「異教」の前で自らの歩んできた教え(=ミステリ)の実践さえままならない状態に陥る。単体のミステリとしては(他の方々同様)微妙でも、人間エラリイ・クイーンの足跡としてはグッとくる。
2024/01/30
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