奪回 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
奪回 (ハヤカワ・ミステリ文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
ディック・フランシスといえば競馬ミステリーで名高いが、本作もまた競馬の世界をめぐって仕立てられている。ただ、プロット全体を俯瞰するならば、ヒロインを騎手に設定してはいるものの、これとても必ずしもそうである必然性には乏しいようだ。フランシスは、今回も勝手知った自分のフィールドで勝負したかったのだろう。物語は緻密な構成をとりながら、実にスピーディな展開を見せる。イタリア、イギリス、アメリカへの展開も目先が変わって効果的だ。また、そもそも誘拐犯からの人質解放ビジネスのアイディアが秀逸。
2023/01/30
NAO
競馬関係者ばかりを狙った誘拐犯と誘拐対策企業のスタッフの駆け引きを描いたミステリ。イタリアに始まった誘拐は、イギリス、そしてアメリカと世界のあちこちで起きるようになるが、その原因は意外なところにあった。息詰まる誘拐犯との交渉、解放後の被害者の心的ストレスなど、リアルで生々しい。その一方で、解放された女性騎手と主人公の淡い恋が描かれ、緩急のリズムがつけられていてぐいぐい引き込まれていく。ラストには主人公ならではの驚異的な脱出劇があるが、それ以外は、かなり現実的な話だった。
2022/12/31
背番号10@せばてん。
1995年3月25日読了。競馬シリーズ第22弾。ディック・フランシス、2010年永眠。自分に多大なる影響を与えてくれた、巨星に心より合掌。(2019年7月28日入力)
1995/03/25
ごへいもち
フランシスの作品の中でマイベストかも。どの作品もヒーローはステキなので評価は私の場合ヒロインの魅力で決まるようだ。というわけでアーレッシアが気にいったので
kuchen
主人公は誘拐対策の専門家。競馬関係者が誘拐される事件が続く。冒頭から緊迫感があり、最後まで気を揉んだ。被害者やその家族の状況には胸が痛くなるが、主人公が犯人と相対しつつ被害者に寄り添う様子や被害者たちが歩み始める姿には希望がある。もちろん、主人公のロマンスも窮地もある。フランシスの作品の中でも、印象に残る。
2023/07/01
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