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1977リッパー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ヒ 5-2)

1977リッパー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ヒ 5-2)

1977リッパー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ヒ 5-2)

作家
デイヴィッド・ピース
David Peace
酒井武志
出版社
早川書房
発売日
2001-09-01
ISBN
9784151726521
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1977リッパー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ヒ 5-2) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

『1974ジョーカー』に続くシリーズ第2弾。本編では'70年代に相次いでヨークシャーに出没したリッパー(切り裂き魔)と、それを追う警察当局との攻防を描く。このように書くと、あたかも典型的な警察小説のようであるが、内実はこれまでの類書とは大きくその趣を異にする。地取りや聞き込み(行われないわけではないのだが)といった地道な、捜査によって犯人を追い詰めていくといった手法は全く取られない。むしろ極めて行き当たりばったりのように見えるし、警官たちは暴力的で、まるでマフィアのようにさえ映る。リーズがこんな街なのだ⇒

2018/08/24

ケイ

1974を読んでいるのが必須条件だと思う。どうしてエディを助けなかったのかと思った2人が、今作では受難の回。ヨークシャー四部作ということがよくわかった。これでは何も解決しないのだ。1980、1984と読み進めるしかあるまい。しかし、秀作ながらもエルロイの対抗馬ではないと思った、LA4四部作を読んだ時には、最後のページで毎回とてつもなく切ない気持ちにさせられたが、ピースはそれには成功していない。続編を待つしかない結末だ。

2016/08/07

まふ

おそれていたよりもエロ・グロ度は低く、何とか最後まで読み通した。ヨークシャー・リッパー事件が1980年まで続いており、物語はリッパーそのものの結論には至らず、警察署内の不正堕落状況が中心に描かれていた。これではリッパーなど捕らえることができるはずもないほどの堕落である。前作もそうだったか、主人公は「思い込み」「独りよがり」「情念」が強くカラマワリをしてばかりいるよう(な書き方)で、紙面が多くの「冗文」(言い過ぎか?)で費やされている、つまり小説全体の<文章密度が高くない>と感じた。G1000。

2023/09/21

セウテス

ヨークシャー四部作第2弾。70年代のヨークシャーには、連続殺人を繰り返した切り裂き魔リッパーが暗躍し、住民たちを恐怖のどん底に落としていた。警察は住民を守り、リッパー逮捕への物語かと思いきや、切り裂き魔の恐怖を描きながらも、警察の権力暴走と不正をメインに捉えた作品であろう。前作でも感じたのだが、悪意や恐怖そこから派生する暴力や殺人を、過激なまでに描写している特徴がある。しかし、そこから生まれる哀しみや切なさが、本来もっと在るべきではないのかと感じてしまう。やはり私には、善と悪がハッキリした方が好みの様だ。

2018/10/11

Schunag

「東京三部作」完結を機に再読。異形の暗黒作家としてのデイヴィッド・ピースはここからはじまったことをあらためて確認する。一人称叙述に視点人物のオブセッションや悪夢や幻視が交錯し、作品=物語=人物の核心は、象徴詩のようなセクションにより告げられる。ヨークシャー・リッパーをめぐる策謀は最終的には背景にとどめ、それに関わる捜索者の私的な地獄めぐりに焦点が合わされる点はいわゆる「ミステリ」の流儀ではなく、やがてピースは『占領都市』で、「anti crime fiction≒アンチ・ミステリ」を標榜することになる。

2021/08/12

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