クララとお日さま
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『クララとお日さま』(カズオ・イシグロ:著、土屋政雄:訳/早川書房)
2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの受賞後第一作『クララとお日さま』(早川書房)が発売され話題となっている。
AFと呼ばれる、子供の親友となるためのロボットがデパートで販売されている近未来を舞台に、ロボットのクララと人間のジョジーを中心にして生命や認知について考えさせられる切ない長編小説だ。
すべての長編が日本で翻訳されているカズオ・イシグロの作品だが、『クララとお日さま』が刊行されるまでの8つ単行本のうち文庫版も含めて6作品の装丁を手がけたのは、1992年に若くして講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞し、吉本ばななの『TUGUMI』、かがくいひろしの「だるまさん」シリーズの装丁などで知られる装丁家の故坂川栄治氏。
昨年冬、その年の夏に急逝した栄治氏の回顧展を開催中の坂川事務所に、カズオ・イシグロの最新長編『クララとお日さま』の装丁の依頼がやってくる。栄治氏が手がけ続けたカズオ・イシグロ作品の新作の装丁の担当に指名されたのは栄治氏の娘であり弟子であった朱音…
2021/4/17
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クララとお日さま / 感想・レビュー
starbro
カズオ・イシグロは、新作中心に読んでいる作家です。ノーベル文学賞受賞第一作の本書は、AF(Artificial Friend;人工フレンドの略、太陽光発電で動くAI機能を持つ人工知能搭載ロボット)SFファンタジーの秀作でした。思ってるほどロボットの技術は進んでいないので、こういう世界は50年後位かも知れません。 https://www.hayakawa-online.co.jp/new/2020-06-16-220515.html
2021/04/26
zero1
イシグロは【追憶の作家】。本書も同じだが階層社会と【祈り】を描く(後述)。誰かが他人を想う時、結果だけがすべて?それは違う。祈ることが崇高で大きな意味を持つ。AI搭載のロボット、クララは病弱なジョジーのAF(人工親友)に。文学の大命題は【人とは何か】を描くこと。イシグロは人でないクララの視点でそれを描く。400ページを超える長編だが、もっと読んでいたい。作品世界にもっと浸りたい。そう思わせる作品。読んで損なし。英米日など3月2日に世界同時発売。イシグロと同じ時代に生きていることを幸福に思う。
2021/03/27
tokko
優秀なAI(アンドロイド)と不完全な人間を描くことで「人間らしさとは何か?」という問いを、これまでのSFでは度々取り上げてきました。けれど本作ではもっと突っ込んだところまで問いを深めます。「突き詰めれば人間とは情報の集積なのではないか?」という問いに、今の人類は「イエス」とも「ノー」とも答えられません。でもクララは彼女なりの答えを見出します。近未来の、高度に発達した科学技術社会が描かれているはずなのに、どこかノスタルジックな情景が目に浮かぶのはさすがカズオイシグロさん。やさしい文体で上品なSFです。
2021/03/23
Sato19601027
エゴ・格差・差別・喧噪、人間の社会は実に醜い。この物語の主人公はAIロボットのクララ。思春期の子供達の友人としてプログラムされた人工親友(AF)だ。世の中を観察し、人に寄り添い、お日さまに祈りを捧げる。自己犠牲の精神を持ち、勇気もある。クララの純粋な心を通して見ると、人間の醜さが一層、際立つ。少子高齢化が進み、子供の世界や介護の世界にAIロボットが進出する日も近い。ロボットが心を持つ近未来社会は、クララが願うような光に溢れる平和な世の中になっていて欲しい。(カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞後第一作)
2023/11/29
けいご
カズオ・イシグロさんごめんなさい!正直あんまり面白くなかったw人工知能のロボットが語る人生物語ってとこは斬新だったんだけど、語り手のクララがAFだからなのか心の距離が遠かったな〜(多分これは著者がワザとやってるんだろうけど)。もしもロボットが人間と当たり前に住むようになり、廃棄され続ければいつかは高度なAIが憎しみと言う感情までも再現し始めたなら人間と機械の溝が深まって最終的には手塚治やターミネーターの世界になっちゃうのかな〜。意識があるまま廃棄されたクララやその他のAF達が心配だね?
2021/08/21
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