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クララとお日さま

クララとお日さま

クララとお日さま

作家
カズオ・イシグロ
土屋政雄
出版社
早川書房
発売日
2021-03-02
ISBN
9784152100061
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クララとお日さま / 感想・レビュー

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buchipanda3

「ときどきね、クララ、特別な瞬間には人は幸せと同時に痛みを感じるものなの」。子供の成長の友となるAIロボット・AF(人工親友)として造られたクララ。彼女は窓の外に広がる世界に憧れ、私利私欲のない無我な目線で人の社会、子供の心、親の心を客観的に見つめ続けた。理屈と感情の相容れない自我に藻掻く人間に対して献身的な言葉を掛ける彼女が健気だ。やがて理屈を超えた自発的な行動を取った時にはびっくり。でもそれはとても印象深い情景でもあった。最後の場面では、彼女は幸せと共に特別なものを感じたのだろうかという思いが残った。

2021/03/16

zero1

イシグロは【追憶の作家】。本書も同じだが階層社会と【祈り】を描く(後述)。誰かが他人を想う時、結果だけがすべて?それは違う。祈ることが崇高で大きな意味を持つ。AI搭載のロボット、クララは病弱なジョジーのAF(人工親友)に。文学の大命題は【人とは何か】を描くこと。イシグロは人でないクララの視点でそれを描く。400ページを超える長編だが、もっと読んでいたい。作品世界にもっと浸りたい。そう思わせる作品。読んで損なし。英米日など3月2日に世界同時発売。イシグロと同じ時代に生きていることを幸福に思う。

2021/03/27

ヘラジカ

AIと少女の友情と聞くと月並みな物語に感じられるが、そこは名匠カズオ・イシグロ、シンプルなプロットの中にも複雑な主題が織り込まれている。これまでのイシグロ作品の通奏低音となるものも随所に見られ、直線的で柔らかな語りでも、仄めかされ徐々に明かされていく社会の成り立ちに慄然とする場面が多々あった。設定やジャンルとしては新たな試みなのかもしれないが、今までの小説世界を補完する作品と言っても良いように思う。人間の心、深奥を探求するという文学の命題において、AIの可能性は創作者に様々な足掛かりを与えているのだろう。

2021/03/02

はる

ロボットのクララは、病弱な少女ジョジーと出会う…。読み始めはクララとジョジーの、人間とロボットの垣根を超えた友情の物語だと思っていました。しかし、読めば読むほど二人の間には超えられない壁があるように感じてしまうのです。無垢なクララと人間の身勝手な考え方の差が。上辺ばかり優しいが、実は格差だらけの現代社会を批判しているように思えます。クララがとりわけ気にしている「孤独」という言葉も。ラスト、クララはとても幸せそうです。しかし、私には悲しみしか感じられない。

2021/03/27

shikashika555

現実からやや浮いた状態の視点を通しての 鋭くも少し偏りのある観察、というイシグロならではのスタイル。 感情の獲得においては、人間もAIも変わりはないのかもしれない。他人の言動から感情の在処を読み取り自身の対応を考えるそのあり方も。 作中の感情描写のいちいちが粒立っていて、過敏な心を抱えた小さい子供の視点で書かれているようで 浮き上がってくる不確かさに心がザワついて仕方がない。 AIの効率化された学習成果を元に 太陽信仰に至るなど、バグの入り具合も人と変わらないのか。 「愛情」もそのようなものなのか。

2021/04/03

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