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タペストリーホワイト

タペストリーホワイト

タペストリーホワイト

作家
大崎善生
出版社
文藝春秋
発売日
2006-10-26
ISBN
9784163253909
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タペストリーホワイト / 感想・レビュー

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クリママ

激しい思いを秘めつつも静かなキャロル・キングの曲のイメージより、物語は過激だ。70年代の学生運動末期の悲惨さ、学生時代の切ない恋を思い出す。が、どんな状況であれ、死はこのアルバムには合わない気がする。”Will you love me tomorrow?""You've got a friend""It's too late""Tapestry"ずっと頭の中に流れている。"A natural Woman" "So far away"も大好きだった。

2016/07/11

Mumiu

内ゲバの誤爆(誤爆なのか、それともターゲットになっていたのかはわからないけど)で姉を、そして友人であり恋人を喪った主人公。最後まで転向しなかった男・遠藤。「いちご白書をもう一度」がリフレインする。そういう時代の終わり頃。そういえば、十二国記に出てきた、延の壁楽人も安田講堂から飛ばされたんだっけ。「姉の愛した人は、・・・自分の人生をかけて戦っていたのだ。」年月を経て穏やかな生活を送りながらも、主人公なりの求める真実に辿りつき、納得できたのだろう。

2014/08/10

銀河

学生運動、内ゲバ。下の時代に生きる学生からきれいな校舎や尊敬できる先生を奪ったもの。そして、洋子はもっと大切なものを失った。学生運動って言葉は知っていても、こうして当事者の物語として読んだことはなかった。中盤、重苦しく、悲しく辛い出来事に何の救いもない、と思ったけれど、最後の数ページで、全てのことが無駄ではなかったと、受け入れることができた。姉が遠藤に宛てた手紙と、最後のタペストリーの散文詩、心に残った。明日もあなたは私を愛してくれているでしょうか。優しい姉が好きだった。

2011/02/24

まめ

70年代から80年代にかけての学生運動を描いた作品。北海道出身の主人公・洋子が、姉の死をきっかけに、学生運動が盛んな東京の大学に進学する。シンパ、ノンセク、内ゲバ…聞き馴染みのない言葉の溢れる中で、どうしようもなく理不尽で短絡的な殺人が起きている。学生同士が鉄パイプや斧で頭を砕いて殺し合うという、私の全く知らない日本が作品の中にあった。想像もできない。けれど、毛布の中という小さな宇宙の中に自由はあり、スウィッチの入れ方さえ思い出せば人はまた再生できる。洋子が、自分のための自由と愛を見つけてくれて良かった。

2016/05/05

hatao5915

学生運動の終焉に荒れ狂った内ゲバ殺人で愛する人々を失った女性の物語。タイトルに反して血と暴力と死の匂いに満ちたシーンが続くが、それを書かなければこの作者は希望を表現できなかったのだろう。コンタクトにゴミ入ったふりして通勤電車で泣いた。

2013/03/06

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