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ロベルトからの手紙

ロベルトからの手紙

ロベルトからの手紙

作家
内田洋子
出版社
文藝春秋
発売日
2016-08-09
ISBN
9784163905051
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ロベルトからの手紙 / 感想・レビュー

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アン

彫刻家田島享央己氏の「羽の生えた足」の表紙が著者の想いを伝え、イタリアからの足音が聞こえてくる作品集。理想を唱える妻が見た夫の「赤い靴下」、高級な靴と底のすり減ったデッキシューズの「紐と踵」、長い横断歩道を渡る老婆の「二十分の人生」…。光と影のある街の風景と人々が抱える事情を精緻な観察力で描き、趣深い人間模様を織り上げる技の見事さにいつもながら感嘆してしまいます。これからも、洋子さんの翼のついた足で巡ったイタリア半島のお話を楽しみに待っていたいと思います。

2019/05/02

どんぐり

人の足、靴、足元、歩みをテーマに描いたイタリア人との出会いと暮らし13篇。〈イタリアの足元〉から見つめる内田さんの文章に、感心しながら読み終えた。表紙カバーは田島享央己作の「ヘルメスの足」の彫刻。11月に、日本橋三越本店で田島享央己木彫展があるので、ちょっと見てこようかなと思っている。

2018/10/15

空猫

久しぶりの内田洋子サン。セクハラを承知で言えば女性の書くエッセイは家族ネタか井戸端会議を盛ったモノが殆どだ。著者ももちろん自身の体験からの話だが自分を切り売りしてはいない。関わったヒト、出来事だけでなく自分さえも俯瞰して観察しているのだ。それも愛情深いのにひどく冷静に。この独特の視点は彼女が40年もの時間を異国で夫も子も家も持たず独りで生き抜いているからだろうか。そして紡ぎだされる古くも美しい日本語は骨太でクセになり忘れた頃にふと手にしてしまう。[曲がった指][強い母]がお気に入り。あとがきも必読。

2017/07/10

mm

内田さんのエッセイを読むと、内田さんのイメージが脳内にかなりリアルに出来上がります。スーツを着ていて靴は5センチくらいのヒールです。声はアルトでたぶん美人。この本のテーマは足・靴・足元・歩みだそうです。私が内田さんの足元をイメージしたのも当然ですかね?語られている人々の過去が、目の前のスクリーンに映り見惚れてしまうけど、それはそのように取り上げた内田さんの技術だと思う。ふらつく足元を自分で叱咤激励して進んだ38年間で、人と一定の距離を取りつつ愛情と冷静をミックスした視線で相手を浮かび上がらせる技に結実?

2017/06/11

pohcho

陽気で明るいイタリア人のイメージとは違う、いろんな人生を切り取ったエッセイ集。「二十分の人生」初対面の外国人にこれだけの話をするってすごい。しかもたったの二十分間で。通りすがりだからこそかもしれないけど、そういうところがイタリア人らしいのかなと思ったり。寝台特急の話は学生時代に貧乏旅行でヨーロッパに行ったことを思い出しながら懐かしく読んでたら最後の展開に唖然とした。あとがきとてもよかった。これまで、たった一人で、自分の足を使って仕事をしてきた内田さんの誇りや矜持が伝わってくる。

2016/10/31

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