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インフルエンス

インフルエンス

インフルエンス

作家
近藤史恵
出版社
文藝春秋
発売日
2017-11-27
ISBN
9784163907581
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「インフルエンス」のおすすめレビュー

少女時代に消えない傷を刻んだ3人が20年後に再会――『サクリファイス』作者が送るサスペンスの傑作!

『インフルエンス』(近藤史恵/文藝春秋)

 多くの人が、幼少期と大人になってからとで付き合う友達はまるっきり変わってしまうだろう。中には、引っ越したり学校が別になったりしたらもう一生会わなくなる友達もいる。そんな相手もずっと「友達」と呼べるのだろうか。それとも「友達だった人」になってしまうのだろうか。

 近藤史恵が新作『インフルエンス』(文藝春秋)で描き出すのは、女性3人の奇妙な絆である。30年にもわたって再会と別離を繰り返す彼女たちは、決してお互いへの好意だけでつながっているわけではない。しかし、まぎれもなく「友情」としか呼びようのない想いがそこにはあったのだ。

 友梨と里子は大阪の団地で生まれ育った幼なじみである。同い年の2人は幼稚園に上がる前から知り合い、毎日のように遊ぶ仲だった。しかし、小学生になって、里子が友梨の家へと遊びにやって来たときから関係がくもり出す。里子は友梨の祖父に「女の子はおじいいちゃんと寝ないといけないんだよ」と言い出したのだ。その日から、友梨の家族は友梨が里子と遊ぶのをよく思わないようになる。

 だんだんと疎遠になっていく2…

2018/1/8

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インフルエンス / 感想・レビュー

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starbro

図書館の予約に出遅れて、ようやく読めました。近藤史恵、初読です。著者の私小説?的イヤミス、一気読みしました。同級生の女友達の負の連鎖は、何時までも続くのかも知れません。著者の他の作品も読んでみたいと思います。

2018/04/06

ウッディ

「私たち三人のことを小説に書いてください」そんな依頼から語られる大阪のとある団地に住む3人の少女の秘密の関係。それは、友達を救うためのための殺人と身代わりという形で始まり、連鎖していく共犯関係だった。絆というほどの深い愛情や友情があるわけではないのに、細い糸が何度も絡み合ううちに離れられなくなった関係。それは大人になっても続き、意外な結末を迎えます。舞台が大阪の団地ということもあり、自分の知らないところで、うす暗く、波乱に満ちた人生を送っている同級生がいたかも知れない。面白かったです。

2018/10/03

ケンイチミズバ

自分も幼い頃に酷い目に遭った記憶がある。里子の「しゃべったら殺す」もわかる。誰にも言えない、なかったことにしてしまいたい気持ちがよくわかる。世界は当たり前に優しいのが子供の感覚で、理不尽で暴力的な出来事に立ち向かえるはずはない。少女や女性が声をあげられないことへの理解がほんの少しだけ前進したのはこれまでの犠牲があったからだ。警察に行くべきだと私が思ったのは男だから言えるのだろう。尊厳が容易く奪われる現実と中学くらいから始まる淘汰を確かにと思った。真帆は蒼井優さんを思い描いた。友梨の人生が気の毒でならない。

2017/11/27

のり

30年にわたる関係を書いて下さいと、作家に話が持ち込まれた。友梨・里子・真帆。色々な角度から三人それぞれに罪悪感を抱き、救おうと思う気持ちが、歪んだ感情に流され事件へと…繋がりを巧妙に伏せ、完全犯罪かと思われたが…殺人を肯定する気はないが、三人の被害者には同情も感じない。奥底に潜んだ依存が痛ましい。話を持ち込まれた作家の正体も気になる。

2018/06/18

うっちー

サクリファイスと同じ作者とは思えませんでした。構成も巧みでした

2018/04/12

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