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雲を紡ぐ

雲を紡ぐ

雲を紡ぐ

作家
伊吹有喜
出版社
文藝春秋
発売日
2020-01-23
ISBN
9784163911311
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「雲を紡ぐ」のおすすめレビュー

【全作品紹介】太宰治の孫・石原燃のデビュー作も候補に! 第163回芥川賞・直木賞ノミネート

 日本文学振興会が主催する「第163回芥川賞・直木賞」のノミネート作品が、2020年6月16日(火)に発表された。この記事ではそれぞれの候補作について、読者からの反響を交えながらご紹介。「どんな作品があるのか気になる!」という人は、ぜひ参考にしてみてほしい。《紹介順はそれぞれ著者名五十音順》

芥川賞候補(1) 石原燃『赤い砂を蹴る』(『文學界』6月号)

『赤い砂を蹴る』(石原燃/文藝春秋)  今回の候補作のうち、最も話題を呼んでいる作品のひとつ。作者は純文学作家・津島佑子の娘であり、太宰治の孫である石原燃。デビュー作となる『赤い砂を蹴る』では、ブラジルを舞台として母娘の“たましいの邂逅”を描いている。

 読者の共感を誘うストーリーテリングが評判を呼んでいるようで、ネット上では「読み始めたら止まらなかった。一人の娘である自分と重ねて読んだ。だからこそ、ブラジルの大地が人生を肯定してくれるようで救われた」「素晴らしく読みごたえのある小説。子育てに纏わる諸課題に、女性が否応なしに直面させられるロールモデル。最後に描かれる、母と娘による魂の邂逅が愛おしい」とい…

2020/6/18

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第163回芥川賞は高山羽根子『首里の馬』と遠野遥『破局』に、直木賞は馳星周『少年と犬』に決定!

 第163回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月15日(水)、東京・築地の新喜楽で開かれ、「芥川龍之介賞」は高山羽根子の『首里の馬』と遠野遥の『破局』に、「直木三十五賞」は馳星周の『少年と犬』に決定した。

【第163回芥川賞受賞作品】

『首里の馬』(高山羽根子/新潮社)

【あらすじ】 この島のできる限りの情報が、いつか全世界の真実と接続するように。沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。 世界が変貌し続ける今、しずかな祈りが切実に胸にせまる感動作。

【プロフィール】 高山羽根子(たかやま はねこ)●1975年生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科卒。2010年「うどん キツネつきの」が第1回創元SF短編賞の佳作に選出される。同年、同作を収録したアンソロジー『原色の想像力』(創元SF文庫)でデビュー。16年「太陽の側の島」で第2回…

2020/7/15

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雲を紡ぐ / 感想・レビュー

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starbro

伊吹 有喜、二作目です。本書で第163回直木賞受賞作・候補作、漸くコンプリート(5/5)となりました。現在の家族の問題を岩手の豊かな自然が紐解き、美しい布が壊れた家族を包む感動の秀作でした。作品的には、今回の直木賞受賞作よりも上かも知れませんが、7回ノミネートに負けた感じです。著者が次回ノミネートされるとすると4回目なので、本作を上回る出来の作品でぶっちぎりで受賞して欲しいと思います。 https://books.bunshun.jp/articles/5636

2020/08/13

さてさて

『壊れかけた家族は、もう一度、ひとつになれるのか?』という問いかけに対する伊吹さんなりの答えを見る物語。『“運命の糸”というように、古くから、人は糸に運命や人生を重ね合わせて表現してきました』とおっしゃる伊吹さん。『糸は、一度切れても、撚りをかけてまたげることができるんです』と優しく語る伊吹さん。そんな伊吹さんが、壊れかけた家族が再び一つにまとまっていく様を、紡がれていく糸に重ね合わせて描くこの作品。お互いの心の糸を紡ぎあうその先に、家族というものの一つのあり方を見た、そんな繊細さに満たされた作品でした。

2021/07/10

ウッディ

雲のような羊毛を紡ぎ、染色して、布に織り上げるホームスパン。友人の言葉に傷つき、引き籠りになった美緒は、祖母から贈られた毛織物のショールに包まれると心が安らぐ。母と衝突した美緒は、岩手の祖父の工房を訪れ、ホームスパン作りに魅せられる。孫を見守り、優しく言葉をかける祖父と自然の中で夢を見つけ、自分らしさを取り戻していく美緒。教師でもある母の言葉が厳しく、読んでいても胸を切り裂かれるようだった。子供の将来を思う気持ちは変わらないはずなのに、感情に任せて投げた言葉の鋭利さに自分も気を付けなければと思った。

2020/09/10

とろとろ

羊毛を手で染め紡ぎ織りあげた布をホームスパンというのだそうな。すなわち、家庭で紡いだ糸で織った織物のことで、その太く粗い織物はオーバーコートやジャケットに丁度良い生地になるんだそうな。その工房を巡る親子三代のこだわり物語。羊毛が織物になるまでの工程の最初の部分、糸に紡ぐまでの話が主。その工房にたどり着くまでの主人公の紆余曲折やそこに関わり合う人達の話。親子それぞれの夫婦の絆、家族の絆、親の立場、子供の立場としての葛藤が並行して繰り返し繰り返し語られるが、最後は収まるべき所に収まった、そんな感じかな。

2020/04/11

tenori

読後感の良さと「小説を読んだな」という充足感に満たされる伊吹有喜さんの優しい物語。崩壊しかけた家族、居場所のない学校生活。主人公の美緒を支えていたのは、一枚の赤いショール。それは交流が断たれていた父方の祖父母からの唯一の贈り物。家を飛び出した美緒の向かった先は、ショールを紡いだ祖父の工房がある岩手。糸を紡ぐことで自分の居場所と価値を見いだすきっかけをつかみとる過程が岩手の風土や街の景色とともに柔らかく描かれる。馴染み深い地名や店の名前が随所に織り込まれ、盛岡市民としては嬉しい限り。祖父の語る言葉も沁みる。

2020/08/17

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