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可燃物

可燃物

可燃物

作家
米澤穂信
出版社
文藝春秋
発売日
2023-07-25
ISBN
9784163917269
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「可燃物」のおすすめレビュー

鮮やかな推理と忘れ難い余韻…米澤穂信による初の警察ミステリーシリーズが開幕!

『可燃物』(米澤穂信/文藝春秋)

 あの米澤穂信氏が、ついに警察を舞台にした本格ミステリーを生み出した。米澤氏といえば、『氷菓』(KADOKAWA)に始まる「古典部」シリーズで大ヒットを飛ばしたほか、『満願』(新潮社)と『王とサーカス』(東京創元社)では、二度のミステリーランキング3冠、『黒牢城』(KADOKAWA)では史上初のミステリーランキング4冠を達成。そんな大人気作家による初の警察ミステリーが『可燃物』(米澤穂信/文藝春秋)だ。「米澤先生の警察小説なんて、面白いに決まっている!」と、発売前から多くの読書家たちの注目を集めている、今話題の1冊だ。

 主人公は、群馬県警本部、刑事部捜査第一課の葛警部。この作品では5編の短編が収められているのだが、葛が立ち向かう事件は、どれも不可解なものばかりだ。

 たとえば、表題作「可燃物」では、太田市の住宅街で連続放火事件が起こる。だが、葛が率いる班が捜査を始めた途端、犯行はピタリと止んでしまった。張り込みの刑事が犯人に見られたのだろうか。犯人の動機は何なのか。葛は、連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出そうと…

2023/7/25

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可燃物 / 感想・レビュー

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starbro

米澤 穂信は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 新シリーズ?群馬県警 葛班長連作短編集、事件も動機も渋い、オススメは、『命の恩』です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163917269

2023/09/13

青乃108号

5話収録の短編集。米澤穂信の初めての警察小説という事らしいが、印象としては小粒。インパクト少。面白くないわけではないが絶讚する程でもない。強いて言えば5話の「本物か」がちょっと良かったぐらい。前評判が非常に高く凄く楽しみにしていたのに、凄絶に肩透かしを食らわされた。極限までムダを削ぎ落とされた文章からは人間臭さがまるで感じられず、もしかしてAIに書かせたのでは、と思わず疑ってしまったりして。昔 あんパンに牛乳、今 菓子パンにカフェオレ。

2023/10/26

パトラッシュ

意外なトリックや動機、凶器などは本格推理の、特に短編では重要な要素だが、現実の犯罪捜査ではあり得ないのでリアル志向の警察小説とは相性が悪い。しかし短編の名手は「ベテラン刑事の違和感」を挿入することで、両者の自然な結合を成立させた。群馬県警捜査一課の葛警部は凶器の奇妙な形状、目撃証言の矛盾、死体遺棄の不自然さ、紙に放火されない事情、非常ベル作動の遅さなど見過ごされがちな小さな疑問にこだわり、鋭い観察眼と消去法で事件の裏の意外な真相を暴く。ホームズそのものの推理を行う刑事こそが、最も意外な存在かもしれないが。

2023/08/17

中原れい

警察ものは初とのことだが、警察側の感情表現を極力おさえたハードボイルドで読み応えしっかり。最初の話からして、主役になっている葛が思考が的確で優れた指揮をしながらも部下をとびこえ最短時間で犯人確保してしまったりするためあまり慕われていないことが語られるなど、作者の思い入れもないのがいつもどおりですごい。どの事件も単純に結果にたどり着くかに見えて被疑者にも被害者にも「ありがちな事情」でひねりが入り飽きない。作者自身が「自分が書いたけれど菓子パンとカフェオレばっかりで体に悪いと思う」とつぶやいた。まさにそれ!

2023/07/31

bunmei

直木賞受賞した歴史時代絵巻の『黒牢城』に比べると、短編集ということもあり、淡々とした展開の中で事件解決に向かう警察ミステリー。というのも、本作の主人公の捜査第一課の葛警部の人物像にあり、現場主義の石橋を叩いて渡るような地味なタイプの主人公は、米澤作品しては珍しい。そのため個性的なキャラでもなく、印象に残るシーンも少ない。但し、どれも最後で一気に犯人逮捕に至るのだが、読者をミスリードした上で、意外性のある結末で結ぶ辺りは、流石に直木賞作家。葛警部の名推理によって、謎が解き明かされる5編が収録されている。

2023/08/25

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