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宙わたる教室

宙わたる教室

宙わたる教室

作家
伊与原新
出版社
文藝春秋
発売日
2023-10-20
ISBN
9784163917658
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「宙わたる教室」のおすすめレビュー

定時制高校から学会で発表を! 事情も年代もさまざまな学生たちが持つ熱い気持ちに、あの頃持っていたワクワク感を思い出す

『宙わたる教室』(伊与原新/文藝春秋)

「もっと知りたい!」「試してみたい!」「作ってみたい!」……そんな純粋な好奇心にかられて何かに夢中になった体験、あなたにも覚えがないだろうか。「学生の頃ならあったなぁ」と、そんな気分からちょっとご無沙汰という人は、もしかしたらこの作品がかつてのワクワクを思い出させてくれるかもしれない。直木賞候補作にもなった『八月の銀の雪』(新潮社)や新田次郎文学賞ほか多数を受賞した『月まで三キロ』(新潮社)などで知られる伊与原新氏の新刊『宙わたる教室』(文藝春秋)は、「好奇心」というものが人を変えていくことを、温かく、みずみずしく描き出した青春科学小説だ。

 舞台は、さまざまな事情を抱えた生徒たちが通う東京・新宿にある都立東新宿高校定時制。大学で研究を続けながら定時制の理科教員として働く藤竹は、定時制の学生たちによる「科学部」を立ち上げようと、年齢も個性もまるで違う生徒たち――読み書きに難を抱えるディスレクシアのために落ちこぼれていた21歳の岳人。子ども時代に学校に通えなかったフィリピン人と日本人のハーフである40代のアンジェ…

2023/10/20

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宙わたる教室 / 感想・レビュー

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パトラッシュ

様々な過去や事情を抱えて新宿の定時制高校に集まった老若男女が「科学部」をつくり、担任教師の指導で火星のクレーター再現実験に挑戦する姿は、明日を信じて生きることを忘れてしまった日本人に何かに夢中になる大切さを教えてくれる。昼間の高校生や偉そうな専門家面をする者には定時制の学生など落ちこぼれでしかなく、妨害や失敗もあってくじけそうになりながら、内に秘めたマグマの熱さで不可能を可能にしていく。セッションの発表で見事優秀賞を得た彼らの前には広大な宇宙が開けるのだ。絶品の青春小説はスレた大人の感性も熱くしてくれる。

2023/11/20

かな

自分の意識の中にある何かを学びたいという気持ち、いつまでたっても動き出せない気持ち、そんな自分を変えてゆくには目の前にある扉を開けるしかない。とにかく自分から動かなければ何も始まらない。そして自分の前にある扉を思いっきり開けよう。自分を変えよう。生活環境も年齢も違う定時制高校の4人の生徒が紆余曲折を経て教室に宙(そら)を作り上げる。伊与原さんの持ち味を生かした科学と優しさが融合した青春物語。科学が苦手でも読めます。是非読んで見てください、お勧めです。

2023/11/11

zero1

何故、人は学ぶ?本書の答は私の琴線に触れた。間違いなく今年のベスト本候補。定時制高校には問題を抱える生徒が集まる。ディスレクシア、起立性調整障害、ハーフに高齢者。理科教師の藤竹は生徒を集め【実験】に挑む。やがて化学変化が…。事実をベースにしているだけに説得力あり。幾つかツッコミ所はあるが、知的好奇心を刺激し爽快感ある秀作。養護教諭の佐久間が出した結論【トリアージ】は実に深い。名言多数(後述)。この作家は3冊目。次は「月まで三キロ」を読むか。SF「星を継ぐもの」は読んだが「火星の人」は未読。読まねば💦。

2024/03/09

hirokun

星5 定時制高校に通う様々なバックグラウンドを持った生徒たちが、教師の指導の下科学部を創部し、最終的には学会の高校生セッションにおいて優秀賞を受賞する物語。普段は、情より理を重視し、本を読んでいても感情の起伏が激しくない私が、非常に感動した。定時制高校の現状についても詳しくなかった私だが、いろんな人と出会い、環境の変化を自分のものとして生かし、自分自身で選択していくことの可能性について気が付かせてくれる素晴らしい作品だった。年金生活者の私も、一旗揚げよう!!

2023/11/23

あっちゃん

この作家さんの本領発揮(笑)定時制の高校でそれぞれに事情を抱えた生徒達一人ひとりにスポットを当てるオムニバス方式、個性豊かなキャラ達が謎の理科教員に誘われ集って科学部に熱を入れていく、人間関係や実験の行方だけでなく結構ウルウルポイントが( ̄ー ̄)

2024/03/30

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