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ぼくは青くて透明で

ぼくは青くて透明で

ぼくは青くて透明で

作家
窪美澄
出版社
文藝春秋
発売日
2024-01-16
ISBN
9784163917931
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「ぼくは青くて透明で」のおすすめレビュー

“普通”という言葉の前で逡巡する人々の声が刺さる――高校1年の夏、恋に落ちたぼくと彼を巡る小さな恋の物語

『『ぼくは青くて透明で』(窪美澄/文藝春秋)

“それが普通だから”。どんな会話のなかでも、たとえば心を尽くして相手に理解してもらおうと語っていても、そのひと言がこぼれると、そこで話は終わり、思考は停止してしまう。社会のなかで多様性というものに光が当たり、各々の個を認めようとする時代へと進んできたにもかかわらず、“普通”という、それこそごく普通の言葉の威力はいまだに半端ない。

 シングルマザーが3編に登場する小説集『夜に星を放つ』(文藝春秋)、揶揄の対象にされてしまいがちなアラフィフ女性の真摯な恋愛を描いた『私は女になりたい』(講談社)、心が折れ、思うように社会生活を営めなくなってしまった人々の姿を描いた『夜空に浮かぶ欠けた月たち』(KADOKAWA)――。窪美澄氏は、“普通ではない”と周りから言われてしまいがちな人たちのやるせない気持ちを小説のなかで可視化させてきた。

 けれど、『ぼくは青くて透明で』』(文藝春秋)の主人公は、“普通”に臆する姿を見せない。“ぼくはみんなの「普通」にあれこれ言わない。だから、ぼくの「普通」にもあれこれ言ってほしくない”と…

2024/1/16

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ぼくは青くて透明で / 感想・レビュー

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starbro

窪 美澄は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、BL海青春恋愛譚家族物語、感涙作でした。少し気が早いですが、本年のBEST20候補です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163917931

2024/02/04

パトラッシュ

同性を愛してしまった少年の、繊細で壊れそうな恋の物語。その切なさ哀しさに深く感じる部分もあるが、この手の小説にありがちな展開や登場キャラが散見して、海と忍の設定も新しさがなく結末が見えてしまう。作者には「LGBTQはかくあらねば」との決めつけがあるのではないか。BL物が出版界で確固たる地位を占めている現在、むしろ古臭い話を読まされた気分だ。いっそ2人を平然とカミングアウトして交際する強い性格とし、それに戸惑ったり反抗する周囲や大人たちを描いた方が面白かったか。自分の趣味はこちらだと言われたらそれまでだが。

2024/02/15

いつでも母さん

普通ってなんだろう・・窪美澄が紡ぐBLをちょっと歯がゆく切ない思いで読んだ。海と忍の恋が、多くの海と忍の恋心が自然にある世の中になって欲しい。いや璃子の恋心だって、沙織の思いだって叶わなくともそれはそれで尊いのだ。人が人を想う事に差はない。強そうに見えた忍の心が脆くて不安になったのは大きなお世話か(汗)とにかくこの物語に美佐子さんがいてくれて救われた感じだった。

2024/02/08

ショースケ

これは『ルミネッセンス』の窪さんの作品⁉️いろんな顔を持つ作家さんと考えられるが、全くもって違う。文章表現から、雰囲気から、全然違う。主人公の高校生の海は実の母も父も家を出て血のつながりのない美佐子と住んでいる。子どもの頃から同性の男の子が好き。海、美佐子、忍、璃子、緑亮の立場での構成。全員に好感を持った。誰もがどうしようもない渦の中で葛藤し生きつ戻りつしている。最後が安直すぎたことが残念だった。終わり方は良かっただけに、もうひと工夫ほしかった。

2024/03/08

のぶ

窪さんの新刊を楽しみにしていたが、ストーリーに刺激がなく、やや拍子抜けした。全体にありきたり感は否めない。そして登場人物にあまり魅力を感じられなかった。その中で美佐子さんは素敵な人だなと思った。本当の親じゃないから受け入れられたのかも、という言葉は冷静で胸が痛かった。現実、マイノリティとマジョリティの狭間で苦しんでいる人はたくさんいる。「こうでなければいけない」という枠組みから自由になれる世の中であればいいなと思う。本作にはあまり満足できなかったが、窪さんは出版のペースが早いので次作に期待しよう。

2024/03/08

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