KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

静人日記 悼む人II (文春文庫 て 7-4)

静人日記 悼む人II (文春文庫 て 7-4)

静人日記 悼む人II (文春文庫 て 7-4)

作家
天童荒太
出版社
文藝春秋
発売日
2012-10-10
ISBN
9784167814038
amazonで購入する Kindle版を購入する

静人日記 悼む人II (文春文庫 て 7-4) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

優希

生と死について考えさせられます。静かに語られる静人の日記。死者を悼みながら何を思い、何を感じていたのか。悼みの旅の中で静人も悩み、葛藤していたことが伺えます。拒絶や暴力も受けながら、静かに広がる悼みの波紋。静人が悼む人としてこれからどう歩んでいくのかが気になります。おそらく彼は何があろうとも、悼み続けていくのでしょう。続編であり序章。確かにそう思える作品でした。

2016/01/18

kayak-gohan

本編「悼む人」の続編。旅の中で静人が綴った日記。「誰を愛し、誰に愛され、どんなことで感謝されたか」を純粋に追求する静人の心の裡が描かれる。人と人が織り成す場では心に刻むやり方もさまざまに変わる。時には音を刻み、酒を飲み、命日に電話する等々。旅先で出逢った遥香のことも含めて、静人の今後がどうなるか。続編にして序章というキャッチコピーも頷けるものがある。併催『悼む人、被災地にて』では被災地の不可視の部分に焦点を当て、静人のスタンスで一人ひとりの死を分け隔てなく心に刻むべきという強いメッセージを投げかけている。

2015/04/08

みも

著者は、僕らを試しているのか…。僕らは巡礼にも似た静人の困難に満ちた悼みの旅を、否応なしに追体験させられる。『悼む人』を心に刻んだか…魂に浸透させたか…死者の声を聞いたか…。延々と記述される死者たちの羅列…。その膨大さ故、やがてそれは惰性となり、僕は倦み疲れ、思考や感覚が麻痺して来る。死者は一人の「個」であると語られているのに、いつか僕は「個」を見失い、「沢山の人達」という代名詞へと変質させてしまう。つまり、著者が突き付けてきた命題に僕は応えることが出来ず、ただ暗澹たる想いだけを抱え、本を閉じる事になる。

2017/10/07

siro

悼む人の続編というよりは序章。静人の日記が続く。悼みの記録なので読んでいても何となく流し読みはできず、じっくりと時間をかけて読んでいました。勿論フィクションだとは分かっているけれど、実際に今この時にでも何処かで亡くなる命はあること、人の死を悼んでいる人がいることは真実。静人の葛藤や恋心など前作よりも彼の心が読み取れて良かった。作者の被災地でのルポは一言では感想は伝えられません。子供の頃、青春時代によく行った海です。友達と泊まった民宿もありました。未だに私は行けません。

2014/07/06

s-kozy

芸術的な完成度も高い「悼む人」ほどの感動はないが、天童荒太らしさは十分現れている作品。ろう者の遥香が静人の理解者となることの意味を考えた。言葉はいろいろなことが表現できて伝達や記憶にも使える便利な道具であるが、便利過ぎるあまりか頼り過ぎると時に本当のことや大切なものを覆い隠してしまうこともある。そのことの象徴か。長い作品ではないが、亡くした家族のこと、健在な家族のこと、自分の来し方行く末などなど様々なことを考えさせられた。「帰属する場所があれば、人はなんとかやっていける」。

2013/08/14

感想・レビューをもっと見る