ミート・ザ・ビート (文春文庫 は 48-1)
ミート・ザ・ビート (文春文庫 は 48-1) / 感想・レビュー
優希
とある日常の数ページを切り取ったような作品。本当にただそれだけです。中古車「ビート」を手に入れてからの予備校生の変わりゆく日常。デリヘル嬢と微妙な関係を持ったりと目先のことに夢中になるのはごく当たり前のことだと思います。その平凡さ故に、あらゆることがリアルに感じられました。物語のない物語だけれど体に感覚的に沁み込むような文章が羽田さんの持ち味なのでしょうね。
2015/10/31
佐島楓
二編の中編を収録。両方に共通するのは「走る」こと。走ればどこかにたどりつけるのか。うっすらとした希望と絶望。文体ははっきりとしていて、空気感は生ぬるい。初めて作品を読ませていただいたが、王道の純文学という感じを受けた。
2015/11/05
ゆにこ
羽田さん4作目。特に事件の起こらない若者の日常。下ネタがキツくないので、今まで読んだ物よりも読みやすかった。
2016/03/24
巨峰
風俗嬢を彼女にもつランエボ乗りのホストの友人から、「あいつ」を譲り受けた予備校生は、なにかと金のかかる「あいつ」を乗りこなそうとするのだけれど〜。そりゃ予備校生の分際でそんなこと覚えたら勉強もできんようになるわなー(関係ないけど、分際って言葉結構好きかもw)。あたしも「あいつ」をはじめて操縦したときは、びびったけど大人になった気がしたものです。タイトルは秀逸。ああそういうことなのか!と心が弾んだ。
2015/09/09
shiozy
芥川賞受賞5年前の候補作である。だがしかし、見事落選した短編である。支持と不支持が交錯したらしいが、ある意味、芥川賞らしい作風である。交通整理員のバイトをしながら予備校に通う「彼」のゆるい生活を描くのだが、そこには大きな「事件」が起こるわけでもなく、淡々と語られていく。中古車「ビート」を手に入れて、新たな自分を見つけるが、それが何であるかの答えは提示されない。見事なまでに、芥川賞を意識した作品といえようか。
2016/01/27
感想・レビューをもっと見る