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エデンの果ての家 (文春文庫 か 43-3)

エデンの果ての家 (文春文庫 か 43-3)

エデンの果ての家 (文春文庫 か 43-3)

作家
桂望実
出版社
文藝春秋
発売日
2017-08-04
ISBN
9784167909055
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エデンの果ての家 (文春文庫 か 43-3) / 感想・レビュー

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TAKA

幼い時から両親から疎外感を抱いて生きてきた兄。一方溺愛されてきた弟。そんな弟が母親殺しの罪で逮捕される。兄弟感の嫉妬や劣等感。まずはこの父親にしてこの息子達は萎縮してしまうだろうな。逃げ道がないのだから。弟の罪がどうとかより家族再生に至るまでの話として面白かった。久美子さんの役割は大きいと思う。子供の頃の劣等感は大人になってもその呪縛から逃れるのは相当難しそう。側にいる人が重要になってくるし。人は変わろうとするにはエネルギーがいるからね。もっと読まれてもいい本なのに。

2020/09/01

hrmt

読み始め数ページで既に“あぁ、これは心が痛くなる本だ”と感じた。気づくと目尻に涙が滲んでいる。静かで重い物語だ。子どもの頃から疎外感を感じていた和弘は、親となることへの恐怖すら抱く。溺愛された弟の母殺しの疑惑を抱えてさえ、言い争い、激昂する場面は少なく、事実ははっきりしないまま、残された遺族であり加害者家族である父と兄は“信じたい信じられない”の葛藤に苛まれる。妻である久美子がただ寄り添ってくれ、和弘は救われてきたのだろう。家族は勝手に出来上がるものではなく、作り上げていくものだと深く心に刺さった。

2017/09/05

hit4papa

母親殺害の容疑で逮捕された弟。父と主人公の兄は、弟の無実を信じるが、弟は恋人殺害の罪でも起訴されてしまう...。両親に愛された弟、疎まれてきた兄。弟は人を殺してしまったのか。どこかで疑いを拭いきれない兄は、だたでさえ良好とはいえない父親と険悪な関係に陥ります。過去から今を反芻するうち家族の真の姿が明らかになるという過程そのものが、本作品の見所でしょうか。父親の殿様っぷりに読みながら血が上ってしまいましたが、そのあたりの沈静作用があるラストは好みです。ミステリのような仕立てであるものの、ちょっと違いますね。

2019/03/30

まるるこ

母が殺され、弟が犯人として逮捕される。しかも、交際していた女性も殺されていた。 もうこれだけで、重い。家族が被害者になるのも辛いが、加害者家族も被害者である・・・これは乃南アサさんの言葉。 家族って、親子って、なんだろうと、考えさせられる。 裁判の判決、父親の心の変化、父子の関係が変わっていく辺り、泣けてきた。 いつか、弟視点からの話も知りたいなあ。 奥さんの久美子さんが良いし、友人の石倉がまた、いい味出してる。そうなんだよ!子供なんか裏切るもんなんだよ。 いい話なのに、なんで登録数少ないんだろう?

2018/08/28

ゆきらぱ

物語は主人公の母親が亡くなって葬式の準備をしている場面から始まる。いきなり弟が逮捕される。そこから主人公の兄の人生を掘り下げる日々が描かれている。両親、弟との考え方の違いが少しずつ浮き彫りになる。彼らは一流志向、ブランド好き、世間体を気にするタイプ。それに傷ついてきた主人公。私はここが面白かった。なぜ人間は価値観の違いに傷つけられてしまうか。そしてこの両親と弟のような、エリートがよしとする人達の主張はなぜ強く排他的で頑固なのだろう。ストーリーも面白いけれどここが一番興味深く答えを知りたく読み進めた

2017/08/21

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