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汚れた手をそこで拭かない (文春文庫 あ 90-2)

汚れた手をそこで拭かない (文春文庫 あ 90-2)

汚れた手をそこで拭かない (文春文庫 あ 90-2)

作家
芦沢央
出版社
文藝春秋
発売日
2023-11-08
ISBN
9784167921255
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汚れた手をそこで拭かない (文春文庫 あ 90-2) / 感想・レビュー

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ふじさん

忍び寄る恐怖、まさに現代サスペンス。自分のしたことが人の死に繋がってのではないかと悩み苦しむ男、プールの蓋をし忘れ水を出しっぱなしにし、その後始末に振り回される教師、認知症の妻を抱えた男の苦悩、映画の撮影中に俳優の薬物中毒が分かり、思わぬ事件に巻き込まれる映画監督、元彼を見返すために金を貸したためにその男に翻弄されることになる料理家等。日常のちょっとしたことがきっかけとなり、崩壊する人生の様を巧みに描くサスペンス、なんか怖い。まさに、汚れを簡単に拭こうとするとかえって汚れは広がるばかり。タイトルに納得。

2024/03/09

短編集。芦沢央さん作品好きです。ちょっとしたミス、軽はずみの言動。日常に有り得そうな出来事が、どんどん取り返しがつかなくなって、一人では修習不可になって、他人に利用され巻き込まれ。こういうシチュエーションを書いたら、芦沢さんは巧いと思います。どうにか周りに気づかれずに済ますことは出来ないものかと思う状況が発生したりするけれど、とりあえず起こってしまったら即報告が一番だなと身に沁みます。口は災いの元。見栄を張るのも口車に乗せられるのも絶対だめですね。

2024/04/02

yukaring

心に隙間に忍び寄る「ちょっとくらい・・」という邪な気持ち。ついつい一線を踏み越えてしまい変容してしまう日常と取り返しのつかない場所に立ち尽くす人々。心の底にどろりとした滓を残すような短編集。高い梯子から落下して死んだクレーマー。彼が死んだのは誰のせいなのか?職場でおかしたミスを隠蔽したいがために必死で小細工を弄する小学校教諭、ある出来事から亡くなった隣人に対する罪悪感で苦しむ男性と彼が知った真実、元不倫相手を見返したかった料理研究家など出口のない迷路にはまりこんでしまった人々の末路を描くホラーミステリ。

2023/11/14

かぷち

ほんの些細なミス、隠したってバレないだろうという軽い気持ちが後々大きな後悔を生むことになり… 誰にでも起こり得るシチュエーション、しまったという結末まで読者に共感させる手法が上手い。誰かに見られているかもしれないと一度疑ったが最後、後ろめたい気持ちは放っておくと膨らむ一方。見つかるのは怖いけど、同時に安堵もするような。プールの水を誤って抜いてしまった事で焦って泥沼にハマる『埋め合わせ』、忘れて欲しいけど忘れて欲しくない夫の心理が切ない『忘却』が特に良かった。

2023/11/18

エドワード

工務店の客が脚立から落ちて死んだ。脚立は工務店のものを無理矢理買った。アパートの隣の老人が熱中症で死んだ。電気代の未払でエアコンが止まったから?誤配達された督促状を渡し忘れた老夫婦の心中。老人が電気を盗んでいたことがわかり…。誰も悪くない。だがこのイヤ~な感情が絶品だ。プールの水の誤排水をごまかしたい先生。元彼から金をせびられる料理研究家。主演俳優が麻薬摂取?映画はどうなる?先のわからないサスペンス感が半端じゃない。どんでん返しも実に鮮やか、読書中は眉間にシワが寄るが最後は笑ってしまう。ホント油断大敵よ。

2023/12/20

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