救い難き人
救い難き人 / 感想・レビュー
鉄之助
日本社会の”3大タブー”に挑んだ意欲作。赤松利市の命が狙われる危険性も孕んだテーマに、よくも分け入ったものだと感心。差別された者の中にも差別の心がある現実や、欲望のモンスターがいかに生まれるかが、身に迫ってきた。
2023/08/01
しんたろー
在日のマンスが主人公の半生記…赤松さんらしい毒を散りばめたノワール小説で、登場人物たちの体臭が匂ってくるような雰囲気。マンスの先輩で貧民窟育ちの井尻の視点を交えて描いているので、裏表になる二人の思惑が絡み合って面白い構成だと思った(マンスのキャラ的な弱さを井尻が補ってもいる)。『鯖』や『藻屑蟹』のような初期の作品に比べると、特徴だったヴァイオレンス&グロが弱まった気もする。(私が慣れただけかも?)460ページは少々冗漫に感じたが、著者が得意技としている「主人公が暴走」しだしてからの終盤は面白さが加速した。
2023/10/25
H!deking
いやー今回もめちゃくちゃ面白いですね。基本的に文庫派なのですがサイン本見つけたのでゲットしました。うちの地元も部落があるので友達とか先輩でもそっちの人はいたけど、ここまで書いちゃうのが利市先生ですね。もったいないので2回読みました笑
2023/08/20
茜
赤松利市氏の本はこれで3冊目になります。これまで読んできた物とは一線を画す内容となっていて興味深い内容でした。また、書き方も変えたのか読み易くなっていました。その分ページ数は多くなっています。内容は母を殺した父であるヨンスクに復讐するという内容ですが読んでいて、そんなんで大丈夫?と思ってしまう。登場人物で一番胡散臭い井尻が気味悪かったです。井尻の言葉が重い。金に取り憑かれたらアカンねん。この言葉はミイラ取りがミイラになったんだなと思いました。
2023/12/11
rosetta
★★★★☆大好きな赤松先生の新作!大満足なピカレスク小説で御座いました。460頁を一気読み!姫路でパチンコで成功した朴ヨンスクの愛人の子として生まれたマンス。溺愛されて育ったが父が正妻を迎えた事で一転して疎んじられる。父は正妻との関係が上手くいかず再び付き合いだすが首絞めプレイの最中に母を殺してしまう。そこからマンスの父への復讐が始まる。貧乏ゆえ差別される中学の先輩である井尻は半グレとしてのし上がりながらいつかマンスを陥れようと見守る。この外道を疾走する感覚もうたまりませんわ!赤松節全開!というか新境地?
2023/10/05
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