住所不定生活にピリオド。赤松利市が、被災地で肉体労働をしながら書き継いだ『アウターライズ』は、今の日本へのアンチテーゼ!
2018年、第1回大藪春彦新人賞を受賞した「藻屑蟹」で“住所不定、無職”の大型新人作家として鮮烈なデビューを飾った赤松利市さん。その後も迫力のアウトロー小説『鯖』、衝撃的私小説『ボダ子』、スカトロ純愛ファンタジー『純子』と、一作ごとに新しい世界を切り拓いてきた、活字好き最注目の作家だ。
『アウターライズ』(赤松利市/中央公論新社)
3月9日に発売された新作『アウターライズ』(赤松利市/中央公論新社)が扱っているのは、東北地方での正断層型のアウターライズ地震の発生と、“東北独立”というセンセーショナルな題材。東北地方が〈東北国〉として独立を果たしたもうひとつの2020年代を舞台に、防災と復興、そしてこの社会のあるべき姿を読者に突きつける。
東北の被災地で土木作業員をしている時代に構想され、長い歳月をかけて紡がれたという壮大な物語が、ついに姿を現す。議論を呼ぶこと必至の渾身作『アウターライズ』に込めた思いを、著者の赤松さんにうかがった。
被災地で肉体労働をしながら書き継いだ物語
――赤松さんが“62歳、住所不定、無職”の新人として、鮮烈なデビューを果た…