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アルタッドに捧ぐ

アルタッドに捧ぐ

アルタッドに捧ぐ

作家
金子薫
出版社
河出書房新社
発売日
2014-11-20
ISBN
9784309023373
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アルタッドに捧ぐ / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

2014年、本作で第51回文藝賞を受賞した金子薫のデビュー作。斬新な造型世界、虚構を虚構として描きながら確かな存在感を持った文体。これは紛れもなく新しい小説、新しい作家の誕生である。小説が何もない空間に小説としてのみ自立する世界。それが本作である。ソナスィクセム砂漠に生息するハナトカゲのアルタッド。それがこの物語の主人公。そして、やはり同じ砂漠の植物、アロポポルも欠かせない。本間は単なる彼らの飼育係(兼・物語の進行係)のようでもあり、物語の語り手のようでもある。アルタッドの点描画も、もう一つの造型⇒

2020/08/13

(C17H26O4)

アルタッドもアロポポルもきっと元いたところへ還っていくだろう。小説を再び書こうか書くまいか。書いたところでどうというのか。問いは広がる。なぜ僕は生きていかなければいけないのか。本間の逡巡する様に若干の歯痒さを感じたが、物事が停滞している状況は揺蕩うようで心地良く、そこに留まっていたい気持ちになった。(アルタッドの可愛さによるところも大きいかも?)不意に訪れた瞬間。何かに祝福されているかのようなこの瞬間は、問いの答えではなくとも、自分がここに在る意味としてなり得るだろう。思うようにいかぬ、迷いの中の僥倖。

2020/10/20

BlueBerry

「文藝賞」受賞作品と言うことで手に取った次第。最近はあまり丁寧に読まないことも多いので序盤流し読みしていたら面白いと感じる部分もなく最後まで読み終わってしまいました。純文学系の作品のようなので丁寧に読まないと伝わってこないのでしょうね。丁寧に読んで読解していく作業は面倒なのでやはり敬遠してしまう・・。安易に面白い作品ばかり読むことを「良し」としてしまっているので選択missだったかと思います。評価は出来ないですね(笑。

2015/01/18

らぱん

トカゲのアルタッドがあまりに愛らしくこれだけでいいという気にさえなった。それはもちろん描写力のなせる業で、全体が飾り立てることの無い静かで落ち着いた文体で滑らかに軽やかに流れていくのも心地よかった。 虚構の中の主人公は自らが構築した虚構から出てきたトカゲとサボテンを育てながら、モラトリアム期の青年という役割をしっかり果たして、書くことや生きることを模索し懊悩する。ひとつの到達点に達し終わりは始まりの予感を孕んで物語は閉じる。 そこに見える羞恥に好感を持ち、正直さを眩しいと感じた。良い作品だと思う。↓

2020/08/25

ふう

読み始めから頭がまっ白な原稿用紙になり、物語のもつ不思議な世界に惹きこまれました。主人公が書いていた小説の中の少年が突然死んでしまい、その原稿用紙を燃やしたあとから現れた1匹のトカゲ『アルタッド』。アルタッドの仕草や表情がかわいく、アルタッドによせる主人公の思いが温かく、陰のない作品のように思えたのですが…。死と向き合う設定にあまり必然が感じられず、こちらにまで響いてこなかったのが残念。 「生きていた証など残さず、ただの1語も発することなくその生を終えること。それがアルタッドの美しさでもあったが~」

2014/12/24

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