夢幻(ゆめまぼろし)
夢幻(ゆめまぼろし) / 感想・レビュー
アキ
曽野綾子の初期短編集。10篇。「鬼瓦」が1955年なので、著者24歳の時の作品。「夢幻」は1969年、著者38歳。初めの5篇は1955〜1959年まで、人物描写も淡白で展開も唐突であるが、残りの5篇(1964〜1969年)は、見違えるように、割り切れない人間の感情を抉り出すような見事な作品。特に表題の「夢幻」のアメリカ人から見た日本人妻の百合子との人生模様は、善人でも悪人でもない人間を描いたもの。強烈な印象を残す。「方舟の女」で夫の妻以外の過去の女とのときめき、「二人の妻を持つ男」の船長が、心に響く。
2023/11/07
TI
1950-60年代に書かれた短編集。当時の作品らしく全体的に硬質な文体。特に波があるわけでもなく淡々と進む。 今から60-70年前なのに書かれている風景はあまり今と変わらない感じがする(それなりの階級だったからかも)。
2023/11/20
peace land
曽野綾子さんの本はたくさん読んだけれど、初期にはこういう本を書いていたのかと感慨深かった。皮肉とか世間のこととか諧謔的なものはなくまっすぐに文章と向かい合っている感じ。
2024/04/20
chuji
久喜市立中央図書館の本。2023ね10月初版。初出は1955年9月から69年5月に描けて色々。作家生活七十年、初期の十作品初の単行本化。曽野さんはオイラの母親世代の方です。多分初読みですが、中々シュールな短編集でした。
2024/01/18
白いカラス
曾野綾子さんの初期の短編集です。曾野さんの作品はほとんど読んだことはなかったです。作品的には古いですが「変身」、「夢幻」が良かったですね。
2023/11/10
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