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孔子の哲学 (シリーズ・道徳の系譜)

孔子の哲学 (シリーズ・道徳の系譜)

孔子の哲学 (シリーズ・道徳の系譜)

作家
石川忠司
出版社
河出書房新社
発売日
2003-06-19
ISBN
9784309242934
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孔子の哲学 (シリーズ・道徳の系譜) / 感想・レビュー

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harass

孔子が唱えた「仁」の一般的な意味合いを覆す。東洋学者フィンガレットの解釈を援用し考察する。定説の意味と異なるが実に自由だ。矛盾に満ちた「仁」は道徳というよりも、世界に対する軽い姿勢だ。道徳家のような堅苦しさを拒んだ孔子は運命愛などの安易な逃げをせずに厳しい現実に明るく立ち向かう。言いたい放題の論調でこの著者の語りに乗っていくことのがこの本の楽しみ方だ。正直根拠が薄かったり飛躍があるがご愛嬌。読ませる才能のある批評家と思われる。著作を追いたい。

2017/07/06

田蛙澄

とても牽強付会で非文献学的であるが、伝統的ないかにも石頭でお説教じみた孔子像を一掃し、フィンガレットや白川静などの解釈を援用しつつ、仁を単なる内面的な意識に還元せずに、善悪どちらであろうとも行為に直結する率直な決断を意味するものとして捉えていて面白いし、仁と礼を無意識と超自我に比較するのも新鮮な発想だ。生を衒いなく率直に受け止め誤魔化しをせずに決断していくこと。矮小な善を拒み偉大な悪をも受け入れるような器の広さと人生に右往左往する見っともなさすら抱え込む人間性。そういった仁の広闊さが理解できる好著だった。

2016/11/24

♨️

「仁」はすべての行為(盗みにだってありうる)から読み取られる決断のうちのある種のものを指す。それは善や高貴さ、愛などといった一元的な価値を越え出ながら、一方で、全てを絶対的に「肯定」する決断態度でもない。「辛さ」を「辛さ」として、「情けなさ」を「情けなさ」として「あがき回る」ような行為のうちにある、あがき回ることの態度である。伝統規範としての「礼」と「仁」との緊張関係にあり、我々が「仁」という語を、まさに「仁」という語自身を目的に、重んずるところに、石川は美しさを見ている。

2020/12/04

ムト

解釈にはなるほどと思わされたけど、いかんせん攻撃的な文章なので…。

2014/02/05

塩屋貴之

本書は最後まで「仁とは何か」を主題として書いているんだけど、結局のところ仁とは何かが明らかにされない。これと同じことを九鬼先生がしている。「粋/野暮」がそれである。 礼とは「人間であること(及びそれを為すこと)」のコンスタティブな側面を指し、仁はそのパフォーマティブな側面を指す。 人間は不完全か矛盾を抱えておりその欠落をエロスによるファンタジー(価値)が満たす。だが仁とは、その価値を明晰判明な形式として「釘付け」にし、これを無力化する戦略ではないか。これはすぐれてラディカル(根源的)な実践である。

2010/08/02

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