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エドウィン・マルハウス (河出文庫)

エドウィン・マルハウス (河出文庫)

エドウィン・マルハウス (河出文庫)

作家
スティーヴン・ミルハウザー
岸本佐知子
出版社
河出書房新社
発売日
2016-06-04
ISBN
9784309464305
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エドウィン・マルハウス (河出文庫) / 感想・レビュー

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chiru

『キャッチャーインザライ』の作中に『ノックアウトされる小説』という一節がある。 アナロジックな構造のこの本がまさにそうでした。『対象と観察者』という共犯関係と伴走する11才の3冊の本。 ⓵ジェフリーがエドの伝記を執筆。 ⓶エドが自伝を執筆。 ⓷同級生が本書を執筆。『子供はみんな天才である』という言葉が、傍観者が主役の座を奪う“一瞬”に圧倒的な意味を与える。 無自覚と無垢と純粋。それを予期せぬ形で容赦なく描く、捉え難い魅力をそなえた凄い本。 この本を読んだ人と話がしたくなりました。 ★5

2018/11/10

かのこ

読友さんのレビューから。11歳で夭折した天才作家・エドウィン・マルハウス。彼の生涯を一番近くで見つめた親友・ジェフリー・カートライトによる伝記、という体裁の物語。11歳の天才作家、彼の生涯の年譜、語られる記憶、読めば読むほど生まれる違和感に、作品世界に強烈に引き込まれる。 独特のイメージ過多の文章は実に読みにくいけど、終盤は周囲の音が消え去るほど集中して読んだ。 緊迫感溢れる終章、弛緩するエピローグ、何が真実で、どれが虚構なのか…作品の仕掛けを満遍なく読み解けた自信がない…。既読の方と語り合いたい!

2018/02/28

はまだ

あと20ページを残して最寄駅に電車が止まったとき、駅から出て自宅に歩いて行くよりも、(たとえ今日のように寒すぎる夜であっても)ホームの、できるだけ風の吹かないところまで行き、最後まで読みきったことありますよね? これもその種の本です。饒舌すぎる伝記作家は、おそらく伝記作家にふさわしくないのだろう。芳醇すぎる語彙が、さいご、じつにこわい。物語が内部からはみ出ようとしているのか。プロットのとりこになったのだろうか。とんでもない小説。最後の場面は、特に注意深く読みたい。すごかった。★5

2018/02/05

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

11歳で死んだ少年の伝記。書いたのはその少年の同い年の親友。という筋書きの小説。つぶさに観察して内面を推し量るそのリアルさは、伝記というより観察日記。幼児期、少年期、そして思春期を迎えようとしているところで終わるけど、キラキラした清らかな子供日記を想像してはいけない。グロテスクなほど黒い片思い。不良っぽい少年への献身的な友情。どれをとっても自分にも身に覚えがある事ばかりでリアルさに寒ざむ。世界が広がっていくにつれて小さくなっていく自分。そして残酷なラストである。読み終わったら子供時代を思い出ししんとなった

2017/10/20

Shun

11歳で自殺した天才作家エドウィン・マルハウス。彼がこの世に誕生しこの世を去るまでの生涯を、ずっと隣で見てきた親友ジェフリーが伝記として著す過程が描かれます。果たしてエドウィンは何故早くに死ぬことになったのか、そして彼が晩年に書き上げた傑作『まんが』とはどのような名作なのか、この若き天才の人生には興味深い点が多い。だがこのあらすじには注意すべき仕掛けがあり、親友を題材に選んだ伝記作家としてのジェフリーにも注目していくことになるだろう。フィクションの伝記を純粋な一作家の生涯として読めるはずもないのだから。

2022/01/25

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