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水の墓碑銘 (河出文庫)

水の墓碑銘 (河出文庫)

水の墓碑銘 (河出文庫)

作家
パトリシア・ハイスミス
柿沼瑛子
出版社
河出書房新社
発売日
2022-03-05
ISBN
9784309467504
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水の墓碑銘 (河出文庫) / 感想・レビュー

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キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

主人公ヴィクの心情が恐ろしく綿密にしつこく書かれるミニマリズムサスペンス。心情というか他人や妻がどう思うかについてくどくど言ってるので、ヴィクの人となりがわからなくなって混乱する。そして妻メリンダのモラルや常識が全く無い様に、読む自分の善悪の中心軸がわからなくなって、一体誰が悪い話なのだろうと居心地の悪い読書だった。出てくる人物も薄気味悪い人たちが多く、そうで無い善人は話の筋と殆ど関係がなく、作者の作り出す世界に翻弄される私。ハイスミスめー

2022/05/29

bapaksejahtera

ハイスミス読書二作目。小さな町で前の代から受継いだ資産を有し、採算度外視の出版業を趣味的に行う男は、妻と娘のいる36歳。穏やかな性格で周囲からの受けも良いこの男の妻は、子供が生まれて以降浮気を繰返す。この奸婦堕婦は情夫を家に連れ込むようになり、夫婦関係は緊張を孕むように。男は妻を嫌悪と共にある種の愛着を以て捉えるが、不満は間男の程度の低さである。或日男は妻の愛人に対し、以前の愛人が死んだのは自分が殺したと脅しをかけ、周囲にその噂を広める。間男は撃退したものの嘘から出た真は、次第に小説をノワールの世界に導く

2023/12/07

29square

凄い。。普通の人間の一歩踏み外したところにある地獄。ハイスミスの作品人物はいつもリアルでステレオタイプ感が無いのだが今作はその極致というか、もう主人公夫婦の普通の会話だけでライブ感があるから凍えるような恐怖。映画化したらしいけど、主人公の底知れない人間性をどう演じているのか…。

2023/07/02

shizuka_電気うさぎ

奔放で淫乱な妻と紳士の仮面を被って耐える夫の話かと思いきや、どんどん様相が変わっていく。夫の語りで展開されるが、妻からの視点ならまた別のサスペンス小説ができそうで、読みながら常に裏のストーリーを頭の中で考えていた。メインの夫婦どころから、すべての登場人物(子供でさえも)に共感をさせない筆は底意地が悪いくらいに思えるが、だからこそパトリシア・ハイスミスという人に憧れに近いようなものを抱くのかもしれない。

2022/05/26

killeerqueen3

次々と愛人を作る妻メリンダとプライドが異常に高く、決して嫉妬心を見せない夫ヴィク。二人の関係が破滅的で全く理解できなかったけど、ヴィクがメリンダの愛人を本当に殺してしまってからの展開が気になり、読ませる筆致はさすが。ヴィクが一線を超えて破滅に向かって進んでいくその心理描写の変化も見事だった。訳者あとがきによれば、ハイスミスの実際の恋愛がモデルになっているらしく、そういった意味でも興味深く読んだ。ベン・アフレックとアナ・デ・アルマスの映画が配信始まったのでそちらも観ようと思う。あと、この邦題も上手い。

2022/04/02

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