恋霊館事件 (カッパ・ノベルス)
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恋霊館事件 (カッパ・ノベルス) / 感想・レビュー
にゃるび
舞台が阪神淡路大震災のため、今読むとものすごく感慨深い。解説の人も言ってるけど、表現力のリアルさの勝利かも。正直ミステリーとしては…あんまりなのが残念といえば残念。
2012/08/29
ako
阪神大震災の最中とその後におきた事件の短編集。「仮設の街の幽霊」の謎は「仮設の街の犯罪」で解決される。阪神大震災の苦しかった時期を思い出しながら読みました。
2012/03/21
kaneo_
阪神大震災の被災者をその克明なかつ語彙に富んだ描写で描く『未明の悪夢』に連なる連作短編集。第二、第三の災害と表される苦境と混迷は畢竟読み手に逃れられない「重さ」を与え、相対的に事件に瑣末な印象を与えうる。しかし、作者はその偏りすらも迷える探偵を通して描く事で「人とはどうあるべきか」を考えようとしていると感じる。表題作『恋霊館事件』がベスト。館の消失、神戸のシンボルに括り付けられた遺体という謎と二転三転する解決、終盤フーダニットからホワイダニットにスライドする手腕は見事。
2011/01/29
ケイト
二十年前の刊行ながらおどろくほど現代に通じるものがあります。全五話から成り立っていて(うち一話は前後編)、被害者がろくでなしやひとでなしばかりなのは、謎に集中できるように、被災者・被災地の現実がよく見えるようにという作者の心配りなのでしょう。「人は結局死ぬのよ」ある登場人物の言葉で、たしかに巨大な悲劇のあとではトリックや謎解きなんて何の意味もないかもしれない。だけどそれが、終わらない「震災」の中で、それでも生きなければならない、生きていこうとする人たちに力をあたえることもあるのでしょう。圭子さんのように。
2021/04/10
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