ヘーゼルの密書 (光文社文庫 う 18-7)
ヘーゼルの密書 (光文社文庫 う 18-7) / 感想・レビュー
Y.yamabuki
満州事変後の日中和平工作を扱った作品。史実の中に架空の人物と事柄を組入れているので、何処までが史実で、誰が架空の人物か調べながらの読書だった。オリジナルの登場人物達は皆魅力的で、彼らの活躍場面はハラハラドキドキの展開で面白かった。個人的にはもう少し彼らの活躍場面があるか、或は日本と中国に挟まれた彼ら個人々の苦悩や葛藤等人間性を描いても良かったと思う。それでも何度も和平交渉がなされ、戦争回避を願った人々がいたことを知ることができたのは良かった。今の世界情勢を思わせるものでもあった。
2024/04/01
ハッピーハートの樹
お互いが平和を願っているのなら、和平交渉なんて簡単に進められそうなのに。ややこしいんですね。/通訳って、良く考えると超重要ですね。単語一つとばすだけで、ニュアンスは大きく変わっちゃう。ある意味外交官本人よりも大事なんじゃないか。その分野の専門知識も本人以上じゃないと、ちゃんと伝えられない。/映画やニュースの字幕でも、注意して聞いていると明らかには端折ってることもよくあるから、海外の人の言葉を正しく理解するには、その母国語の理解が必須ですね。翻訳機だって100%は信じられません。英語の勉強、もっと頑張ろう。
2024/04/12
Wataru Satou
戦時上海・三部作の2作目。前作の破滅の王を読んだ時程の衝撃は無かったが、武力による対立を交渉によって避けて和平を勝ち取らんと奮闘する人々と、それを良く思わぬ勢力との攻防の物語。史実インスパイアのフィクションであり歴史if物ではないので大枠での結末は知っているのだが、それでも一縷の望みを託しつつ、そして憤りつつ読み進め、あぁ…と終わる。宋美齢からスミへの文のくだりで目頭が熱くなった。
2024/03/24
sakwai
「破滅の王」読んだ時も「オーシャンズ」や「百目」などに比べるとどこか熟れていない印象を持ったのだが、本書もやはり著者に対する信頼度からすると正直もの足りない。何様な感想で申し訳ない。いずれにしろ歴史改変SFでない限り物語の軸たる和平工作がうまく行かないことは読者には周知であり、その中でいかにサスペンスを構築していくかという勝負になると思うのだが、ステロタイプな登場人物たちが十二分に機能していると思えないのよな。それこそギリギリ戦争抑止した!という改変SFだったらユニークな面白みがあったかもという気もする。
2024/02/14
感想・レビューをもっと見る