あなたのことが、いちばんだいじ (光文社文庫 も 11-5)
あなたのことが、いちばんだいじ (光文社文庫 も 11-5) / 感想・レビュー
takaichiro
盛田さん2冊目。短編集。様々なテーマを編んだ本作を読むコツ。最初にあとがきに目を通すこと。作品群の背景が書かれている。読んでおかないと迷子になる。16歳の夏、バタイユの「青空」を読み触発されて書いた「糠星」。「エーテル密造計画」は作家転身後の一年間に見た夢の断章を繋ぐ。うつらうつらしながら頭に浮かんだイメージを脈絡なくメモに書き残したらこんな感じになるだろう。「折り紙のように」は10ページ足らずの作品でありながら深めの掘り下げ。長編で読みたい。「我々の美しい妻」ライトな官能小説。ふ〜っ、迷子にならず読了!
2020/02/04
choco
なんだなんだ⁇ この本。7つの短編集だが、どれも繋がりがなく一部は官能小説。最後あとがきを読みなんとなく腑におちる。盛田さんの執筆期間37年分をまとめた一冊らしい。しかし「エーテル密造計画」は読むのに一苦労した。この量の一冊をこれだけ時間かけて読んだのは初めて。つまり、退屈…
2015/07/09
スナフキン
著者が16歳の時に書かれた処女作「糠星」や名作『夜の果てまで』の原型となった「泣くかもしれない」など、7つの短篇が収められている。書かれた年代がそれぞれ大きく異なるので、作風もそれぞれ異なる。中でも「エーテル密造計画」はこれまで読んできたどの盛田作品とも異質で、どう解釈したらいいのか分からないまま読み進めたが、巻末で作者自ら種明かしをしている。個人的には「我々の美しい妻」が一番好き。その次に「糠星」、そして、「折り紙のように」か。盛田文学の豊穣さが詰まった贅沢な一冊であった。
2020/04/26
洋平
面白かった『夜の果てまで』の原型『泣くかもしれない』が読んでみたくて。読んでみると、原型というより『夜の果てまで』の一部分そのままで吃驚。これだけだと良さが伝わらずお勧めはできないけど、短い分メッセージは見え易かった。「おやじを捨てたおふくろも、捨てられてアル中になった親父も…死ぬときはみんな一人だろ。やりたいことやって一人で死んでいくんだ」でもやりたいことやりゃどこかに傷ついてる別の人もいる。大学生と不倫された挙句、妊娠六ヶ月の母に会ったときに父が味わった思いなんて、自分も想像できないし、したくもない。
2012/06/15
asa
市図書館本。カバーデザイン・高(はしご)林昭太。カバー写真・Mitsuru Yamaguchi。『暗闇のもっとも濃いときが、暁の始まるときなんだ。(p229)』。短編7編。『エーテル密造計画』のよくわからない展開に夢の話みたいと思っていたら、あとがきに夢の断章とあって納得。変な夢の話ってあまり面白くないから、それを作品にしちゃうとは…。途中読んでて挫折しそうになった。
2017/11/08
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