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熟れた月

熟れた月

熟れた月

作家
宇佐美まこと
出版社
光文社
発売日
2018-02-15
ISBN
9784334912055
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熟れた月 / 感想・レビュー

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しんたろー

宇佐美さん2冊目。哀しい事件が続く冒頭の50ページほどで「辛いなぁ」と先が思いやられたが、末期癌の闇金女社長・マキ子と取り立て担当の元銀行員・乾の話に移行してから、得体の知れない力に引き込まれる様に読んだ。社会の厳しさと自分の弱さに負けた乾が、己のダメな部分を見ているようで苦しいのに、運命に翻弄される彼と一緒に、救われるような気持ちにもなるのが不思議だし、何度も涙を誘われた。ファンタジー要素に疑問を感じて「リョウは必要かな?」とも思ったが、読み返して考えてみると著者の愛が形になったのだろうと受け取った。

2018/04/23

ケンイチミズバ

平井堅さんの曲、ノンフィクションの歌詞を思い出した。描いた夢は叶わないことの方が多い。優れた人を羨んでは自分が嫌になる。生きることを時々やめたくなる。人生は苦痛ですか、成功が全てですか、僕はあなたに、あなたに、ただあいたいだけ・・・運命は決まっているんだと、時々思うことがある。悲観的に運命のせい、人のせいにしてきた暗い自分の人間性をようやく恥じたり反省するのがこの年齢になってから。情けない。物語のラストは予想できたとは言えグッときた。あの時あんなことするんじゃなかったと消えない後悔が自分自身にもあります。

2018/04/02

❁かな❁

宇佐美さん、すごい!以前短編集の『角の生えた帽子』を読んで面白さに驚き、今回初めて長編読みましたが長編もすごい‼︎冒頭の事件からどうなるのかとハラハラドキドキ。余命宣告された闇金の女社長マキ子、取立屋の乾。運命に翻弄された2人の人生が少しずつ見えてくる。第1章から切なくて苦しかった。後半どんどん色んなことが明らかになっていき先が気になり一気読み!想像もしていなかった人物の繋がりや真実に驚いた。ファンタジーな要素があり、この要素がとても素晴らしい!辛く苦しい人生も温かい奇跡に救われる。ラスト涙が溢れた*

2018/05/12

いつでも母さん

宇佐美さんだからと気を研ぎ澄まして読み始めた。どこでどう繋がるのか気になって一気だった。私の中には『一番当てにならぬのは自分』の思いが常にあって、だから、佑太や一色や宮坂の全てを否定出来ない。勿論佑太の母の事もだ。そうだね『秩序は巡る』そんなことがあっても不思議ではないよね。あゝ、宇佐美さん、こういうのも書くんだ・・が正直なところ。良い意味で期待を裏切ってましたが嫌いじゃないです。良かったです。上手く伝えられないけれど良かったです。人は思うほど簡単じゃないんですよね・・

2018/03/05

utinopoti27

陸上部の先輩に憧れる女子高校生の奇妙な話から、一転してヤミ金の女社長と取り立て屋の男の薄汚れた人生模様へ。一見関係のないような出来事が、実はどこかで繋がっている・・。人を蔑み、陥れることでしか自らを正当化できない者たち。社会の底辺を這いずり回るような孤独な人生でも、誰かに何かを繋げてゆくだけで意味のある人生になるかもしれないのだ。本作では、登場人物の行く末を、作者はあえて語らない。そこには彼らに訪れるであろう「救いの奥行」を、読み手それぞれの感性に委ねる趣向が読み取れる。重苦しいのに読後感が心地よい。

2020/05/21

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