ひとんち 澤村伊智短編集
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「ひとんち 澤村伊智短編集」のおすすめレビュー
日常を突き崩す、恐怖と幻想。『ぼぎわんが、来る』の著者による、ホラー短編集
『ひとんち 澤村伊智短編集』(澤村伊智/光文社)
『ぼぎわんが、来る』の実写映画化(中島哲也監督『来る』)と、同作の著者・澤村伊智氏のブレイクは、昨年のエンタメ小説界を語るうえでは外せないトピックだろう。
澤村伊智といえば、2015年に日本ホラー小説大賞を受賞してデビューした、新世代ホラー小説の旗手。映画化をきっかけにその“怖くておもしろい”作品が広く知られるようになったのは、デビュー当初からの読者として喜ばしいことだった。
2月20日に発売された『ひとんち 澤村伊智短編集』(澤村伊智/光文社)は、待望の新作。表題作「ひとんち」から書き下ろしの「じぶんち」まで、著者の鬼才ぶりをたっぷり味わえる短編集である。
以下収録作にふれながらレビューしていくが、結論から書いてしまうと、この本は単行本で手に入れる価値のある、密度の濃い1冊だ。ホラーファン、ミステリファンはもちろんのこと、刺激のあるエンタメが読みたいという方々に、自信をもっておすすめできる。
「夢の行き先」は、ホラー&ダークファンタジー専門誌(『ナイトランド・クォータリー』)掲載時に読んで驚き、今…
2019/3/8
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ひとんち 澤村伊智短編集 / 感想・レビュー
starbro
澤村 伊智は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。著者初の短編集、著者は、長編よりも短編の方が向いているかも知れません。オススメは、『闇の花園』&『宮本くんの手』です(怖)
2019/03/09
しんたろー
2016~2018年に色々な雑誌で掲載された作品を集めた8つの短編集…澤村さんが様々な手法でゾッとする話にアプローチする姿勢が伝わってきた。だが、同じ短編集『などらきの首』ほどのハイクオリティではなかった。それは、澤村さんに対しての期待値が高い私のせいでもある。とは言え、常識のズレを抉った表題作、現代の日常を裏返した『ありふれた映像』の2作はそのまま『世にも奇妙な物語』で映像化できそうだし『闇の花園』と『死神』は得体の知れないおぞましさを巧く表現していてgood!でも、そろそろ、比嘉姉妹の長編も読みたい♪
2019/04/01
nobby
表題作「ひとんち」最後の「……ミイくん」にゾクッとさせられた勢いのまま、あっという間に読み切る8編。その内容は風習や蒐集家たるこだわり、不幸の手紙など多岐にわたり、伝承的・魍魎系・ファンタジー風といろんなホラーを楽しめる。少なからず自分と重なる事柄にニンマリ苦笑しながら、おおかた予想と外れずにドキドキ読ませて終盤感じさせる不吉がたまらない!最もインパクトあるのは後半ドーン、ドーンともしかしての衝撃繰り返す「ひとんち」。「シュマシラ」での止まらない探索も好みだが、何気に人間界を危ぶむ「闇の花園」も侮れない。
2019/05/24
absinthe
怖い8篇つまった短編集。どれも夢中で読んだが特によかったのが『しゅましら』と『死神』。そこの角を曲がるともう異世界。普段住んでいる身近な世間とあの世のシームレス感が良い。だんだん薄気味悪くなってくる、怪異を直接に見せないチラ見せで、良い(悪い?)雰囲気を盛り上げてくれる。暑い日が続く今ちょうどよい本。
2021/08/14
KAZOO
最近、新作が出ると読ませてもらっている作家さんの作品です。8つの話がおさめられている短篇集ですが、それぞれ長編にできるような気もしました。表題作や最後の表題作に対するような題名でのはなしが印象に残りました。他の方も書かれていますが三津田信三さんの作品をもう少しやわらかくした感じがあります。夏の暑いときに少し涼しさを感じさせてくれ楽しませてもらいました。
2019/08/07
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