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天使

天使

天使

作家
須永朝彦
出版社
国書刊行会
発売日
2010-07-23
ISBN
9784336052551
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天使 / 感想・レビュー

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なつ

種族、性別を超えて人を惑わせる天使、吸血鬼が織り成すミステリアスな幻想譚。モチーフや表現の仕方がもう刺さる刺さる。トランシルバニアといった地名や爵位の関係にウズウズしました。短編集だけれど味わいたくて時間をかけて読みました。漢字の使い方の新たな発見もできて勉強になります。やはりというか、女性は扱いが悪い(苦笑)

2021/06/17

yn1951jp

解説で千野帽子が「厄介な氷菓子」に喩える美少年譚集。作者の美意識だけで構築される散文詩的な短編は、冷たい耽美であり、味覚と嗅覚は遅れてやってくる為、作品の味わいには時差が生じるのだ。須永が20代に、ドイツ、オーストリアからバルカン、トランシルバニア、スペインにまたがる旧ハプスグルグ家の領有した幻影の国に憧れて創作した伝奇浪漫譚であり、1970年代に多様な雑誌に掲載されたアングラ時代の甘美な氷菓子である。〈つかのまの闇の現(うつつ)もまだ知らぬ夢より夢に迷ひぬるかな〉続拾遺913式子内親王。

2016/02/06

skellig@topsy-turvy

須永さん自ら選んだ濃厚な耽美短篇・掌編集。美醜と性差がそのまま神(ここでは作者)の寵愛を受けるか否かを分ける明瞭で残酷な世界。美貌の男は残酷で誘惑的で静かな知性を宿し、女にはまるで性的興味はなく、美少年を求める。ほぼ全てこのパターンなのだが、飽きない。吸血鬼に天使といった異形のものは抗えない微笑を浮かべて牙を立てる。硬質な文章なのに、たまにさらっとハズしてくるところが憎い。読んでいる最中、ずっと芳醇な葡萄酒の香りがしていた、ような。暗くて妖しい雰囲気の場所で読むときっとなお良し。

2014/01/21

柊渚

悶絶。一息に読もうとしたら駄目…というかできない。強い眩暈と酩酊感に襲われます。 美少年、吸血鬼、天使、一角獣。妖しく蠱惑的な文章によって、美と美が睦み合う、甘く芳しい世界に絡め取られていく。幻想的で麗しい物語の数々、まるで大人のお伽噺のようでした。「氷菓子の冷たさのような美しさ」と千野さんが解説されていたけれど、まさにその通りだなと。徹底的に美を高めた文章は読者を置いてけぼりにしてしまうこともあるのかもしれないけれど、一方で惹き付けられてやまなくしているのでは…。私はすごく、すごく好きだった。

2021/08/25

キキハル

一気に読むのが惜しくて、就寝前に少しずつ読み進めたが、何事にも終わりは来るものだ。これは23の小品がちりばめられた見事な短編集。吸血鬼・天使・一角獣・蝙蝠男・美青年たち・・・。作者の好きなものを上品に色付けし美しく詰め合わせた一冊。幻想・耽美という言葉では括られない独特の世界観は、一種の麻薬のように陶酔に誘い常用性を持つ。危うさを孕んだ闇の芳香に耽溺してしまう。部屋の隅から滲みだした黒い霧は、やがて金髪碧眼黒衣の美青年に変じる。今宵も、どこかの部屋の隅から・・・。

2010/09/12

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