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サイレント・ブレス

サイレント・ブレス

サイレント・ブレス

作家
南杏子
出版社
幻冬舎
発売日
2016-09-08
ISBN
9784344029996
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あなたの“理想の死に方”は? 現役医師と考える終末期医療のあり方

『サイレント・ブレス』(南杏子/幻冬舎) 「元気で長生きして、死ぬ時はコロッと逝きたい」「たくさんの孫に囲まれて、眠るように最期を迎えたい」――。そんな“理想の死に方”を考えたことはないだろうか。とはいえ、そう思い通りにならないのが現実。病気や老化により体の自由が利かなくなれば、入退院を繰り返すことになるだろう。認知症になれば、大切な人のことさえわからなくなってしまうかもしれない。誰にでも訪れる終末期をどう過ごすか、若い人にとっても文字通り他人事ではない問題だ。

 そんな終末期医療にフォーカスしたのが、連作長編『サイレント・ブレス』(南杏子/幻冬舎)だ。著者の南さんは現役の医師。多くの患者に向き合い、その生死を見つめてきたからこそ、デビュー作にして心を深く揺さぶる作品が書けたのだろう。

 主人公の水戸倫子は、大学病院から訪問診療クリニックへの“左遷”を命じられた37歳の医師。在宅で最期を迎える患者が穏やかな日々を送れるよう、彼らの家を訪ねて診察するのが彼女の仕事だ。命を助けるために医師になったにもかかわらず、死を待つだけの患者と向き合うことに最初は…

2016/9/14

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サイレント・ブレス / 感想・レビュー

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ウッディ

大学病院から在宅医療専門のクリニックに異動になった倫子は、病を治す事だけが医療ではないことを知る。末期癌の女性記者、筋ジスの若者、治療を拒否した医師を診るうち、最期の日々を穏やかに、そして有意義に過ごさせてあげるための医療があることを知り、意識ないまま命を長らえている父と向き合う。小さな謎解きを挟んだ医療小説は、知念さんを彷彿とさせた。患者が死を受け入れる時、それは諦めではなく、残された人生を精一杯生きることなのだ思いました。主人公の成長と共に読者の心を豊かにする良い小説でした。

2019/05/30

いつでも母さん

ん~ん、興味深く読了した。長寿大国の行く末を憂う。次は私たちの番・・自分の最期くらい自分で決めておきたいなぁ。老いた母を抱える身でもあるので、どれにも心が寄り添ってしまう。看取る医師にもだ!(中の一つは子どもの人身売買の話だったので、日本よおまえもか?ありえへんと憤るが・・)そうなのだ、これからは看取り医療が大切だと思う。日本全国津々浦々、充実させてくれたら安心して逝けると思うなぁ。

2017/05/12

kotetsupatapata

星★★★★☆ 終末期医療の話で色々と考えさせられる話です。在宅で死を迎えられる事は患者からすると本望なんだろうけど、介護する家族の負担を考えると果たして良いことばかりでしょうか? 『死=医療の敗北』と捉えず、『死んでいく患者も愛してあげてよ』とう大河内教授の言葉はズシリときました。 患者・家族・医師皆が納得する人生の終わり方というのはあるのでしょうか? 普段どうしても死というものをタブーにしてしまいがちなので、真正面から自分はどのように生きて死んでいくのか真摯に向き合いたい気持ちになりました

2021/03/04

なゆ

もしも、〝死〟を意識せざるを得ない病、もしくは老いた時に、どういうふうにそこへ向かいたいか改めて考えた。現役の終末期医療の専門内科医である著者だからこその、いくつかの〝死〟を在宅で看取る医療がリアルに分かりやすく書かれている。「救うことだけを考える医療には、限界がある。看取りの医療もとても大切。」「死ぬ患者も、愛してあげてよ」「死は負けじゃない」ガン闘病の末疲れ果てて死んだ父を見ながら感じた疑問「そこまでしなきゃ死ねないのか」の答えを見つけられた気がする。ただ、近くにこういう医師がいればいいけど。

2017/10/25

モルク

大学病院から在宅で最期を迎える患者を看る訪問クリニックに移った倫子。治すから穏やかに日々を過ごすことに重きをおく医療となる。そこには、人の数だけいろんな死があり、患者の思い、悩みそして看とる側の思い葛藤がある。最終章倫子が父の最期について決断を下し、その時を迎える場面では涙を抑えることができなかった。現役医師ならではのリアリティーと問題提起だった。これがデビュー作だそうだが、もっと読みたい、続編も書いてほしい。

2017/02/09

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